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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第三十四話 ツラの皮が分厚すぎるのも時には困りものです。
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す波となるやもしれん、ということだ」

 そう言ったきり、メルカッツは目をつぶった。話しかけられたくない時によくそうする彼の癖である。それをこれまたよく知っている副官のシュナイダーも口を閉じて、物思いにふけることとした。


 一方のアレーナもマインホフ元帥をなだめて帰した。元帥曰く「儂に対する態度と全く違うではないか」と言ったので「普段のあれはおじいさまに対するときだけですよぅ」と甘えたのである。デレデレになって帰るマインホフ元帥の背中を門まで見送ったアレーナは身をひるがえして、直ちにイルーナに話をしたのである。

「なるほど、メルカッツ提督か。いいところに目を付けたわね、アレーナ」

 イルーナは極低周波通信のスクリーン上で端麗な顔を心持ほころばせていった。

「そりゃあ前世じゃ私はあなたより2歳年上!だから年の功!・・・・って、そんなこと言ってないし!!バカバカ!!何を聞いてるのよ!!」
「誰も何も言ってないけれど」

 あきれ顔をイルーナはしたが、すぐに顔を引き締めた。

「ラインハルトもキルヒアイスも原作よりも随分と視野が広くなっているわ。メルカッツ提督の真価を見抜いて、それにふさわしい地位を与えてくれるといいのだけれど。あなたが言うようにメルカッツ提督は全軍を率いる器ではないけれど、それでいて全軍から信頼される立場、艦隊の中核に立つべき人よ。そうね、副司令長官ならもってこいの人事よね」
「宇宙艦隊司令長官は?あなたがやるの?」

 先の先のずうっと先の質問に対し、イルーナは苦笑して答えた。

「そんなことはその場になってみないとわからないでしょう?」と。

 それから先、二人は将来の帝国人事についてひとしきり意見を交わしあった。バーベッヒ討伐など、アレーナとメルカッツ提督の二人にかかれば、造作もなく鎮圧できるだろう。むしろこれは武勲を上げるチャンスだ。少なくともラインハルトを少将に押し上げて、原作よりも早く出世させてあげよう。そういう趣旨の会話もあったのだった。

 だが、この時二人は慢心していたのかもしれない。水面下で着実に陰謀が張り巡らされていることなど、知らなかった・・・・いや、忘れていたのである。アレーナがベーネミュンデ侯爵夫人邸について逐一監視を続けていたにもかかわらず―――。


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