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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第3話:ブリティッシュ作戦
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開戦から一夜明けて、1月4日。
グラナダを制圧した突撃機動軍の各部隊は、警戒のために出撃している
一部の部隊を除いてグラナダ基地の軍港に停泊していた。

将兵たちは月の弱い重力の中ではあるが、1晩ぐっすりと休んで英気を養い
今は司令官たるキシリア・ザビ少将の演説を待っていた。

コリオランでも格納庫にほぼ全ての乗組員が集められていた。
しばらくして、正面にある大きなスクリーンにキシリアの顔が映し出された。

『突撃機動軍の諸君。 昨日の降下作戦ではご苦労だった。
 諸君の献身により公国はこのグラナダを手に入れることができ、
 しかもわが軍に生じた損害はごく軽微であった。 改めて感謝する』

淡々とした口調で語るキシリアの表情は小さく微笑んでいるように見えた。
だが、すぐにその両目に厳しい光を湛えると、演説を再開する。

『だが、我々の責務はこれで終わったわけではない。
 むしろ今日行われるブリティッシュ作戦こそが本番なのである。
 この作戦が成功したとき、我々は確固とした独立を勝ち取ることができよう。
 困難な作戦になるであろうが、諸君らの勇気と忠誠心、そしてこれまでに
 重ねてきた鍛錬の成果があれば、必ずやり遂げられると信じている。
 今日の労苦の成果は明日の勝利だ。 各員の奮戦に期待する』

キシリアは演説を締めくくると、挙手の礼を取った。
そして中継映像が消え、スクリーンは再び真っ黒になった。

格納庫は兵士たちが小声でかわす会話によって僅かにざわつく。
だが、続いてスクリーンに艦隊司令官のルーゲンス准将が現れると
即座にざわつきは収まった。

『本艦隊は、コロニー突入部隊の支援およびコロニーの護衛を行う。
 ここグラナダを発し、サイド2宙域に入ったところで突入を担当する
 海兵隊と合流、サイド2・8バンチコロニーに直行する。
 途中、サイド2駐留の連邦警備艦隊による迎撃が予想されるが
 大した戦力ではないと思われるので、海兵隊と協力して迅速に排除したい』

作戦図を指し示しながら、ブリティッシュ作戦の概要が明かされていく。
ルツがどのように戦闘が進んでいくかを頭の中でシミュレートしていると
隣から彼のわき腹をつつくものがあった。

顔をしかめながらルツが目を向けると、ベルゼンがニコニコと笑いながら
小声で話しかけてきた。

「今日は昨日よりもずいぶん大変そうだな」

「そうだな。 でも、そんなことを言うわりにはずいぶんと嬉しそうじゃないか」

作戦説明が映しだされている前方のスクリーンを見つめたままルツが応じると、
ベルゼンはニヤニヤと笑いながらルツの肩をたたいた。

「そこはそれ、大変だからこそ手柄の立てどころも多かろうってもんさ」

そう
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