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憑依貴族の抗運記
第4話、朝の会議
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ーは幕僚や側近には恵まれている。

「はじめてくれ」

 いつものように報告書の内容を軸に、この六人から軍や政府、貴族社会など各界に対する情勢分析を聞いていく。 

 場合によっては俺の判断を求められる事案もあるが、それも大抵はそれぞれのメリット、デメリットを教えてくれる。朝の気分でどれかを選べば、細かい調整や手配は側近達の仕事となる。

 あとは時々、部下と長距離通信回線を使ったり直接面会したりして話をする。アンスバッハや首席執事の指示に従って、領地向けの命令映像を撮り発信したりすることもある。

 まあ一番困ると思っていた政治分野であったが、このまま惰性で暮らしていくだけなら私生活より問題は少ない。

「朝の報告は以上です。オットー様から何かありますか?」

 一同を代表して家宰のグライデル男爵が何かあるかと聞いてくれた。普段ならここで「皆励め」と鷹揚に頷いて解散するが、今日は対ラインハルト対策の方針転換を告げるつもりだ。

 転生してからあまり時間も過ぎてないこともあり、俺の恣意的な介入案件はあまりない。

 カストロプ公と帝国政府の対立の間に入るか問われて、取りなすよう指示したことと、盛況な芸術鑑賞パーティーで三長官の悪評を高めたくらいだ。ああ、シュトライト准将にラインハルトのお友達を監視する部門を強化するよう命じたりもした。

 俺はオットー流に慣れることを優先してきたが、そろそろ俺流の方針展開を打ち出さないといけないと焦り始めている。

「金髪の孺子が元帥となったことで話がある」

「はい」

「今まで孺子を単なる幸運の申し子と思っていたが、アスターテの戦いでわしは目が覚めた。金髪の孺子は優秀で危険な敵と見なすべきだ」

「私もそのお考えに同感です。油断すればブラウンシュヴァイク公とて足をすくわれる危険な相手です」

 首席幕僚のアンスバッハ准将が間髪を入れずに賛同してくれた。シュトライト准将とフェルナー大佐は大きく頷き、二人の執事は小さく頷いた。

「馬鹿な。金髪の孺子の出世などただの姉の七光りではないか。皇帝陛下の目が醒めれば孺子などすぐに追放だ。あんな成り上がりを危険視するなど皆どうかしておる」

 ラインハルト危険説に異議を唱えたのは、オットーの伯父のボアテング伯爵であった。

 成り上がりのラインハルトの出世に不満を抱き能力を見くびっている点で同じでも、ボアテング伯爵はラインハルトの排除に積極的なフレーゲル男爵と違って、汗をかく必要性を全く感じてないようだ。

 まあ、皇帝の過去の女性遍歴を見れば、ここ数年続いたアンネローゼさんへの寵愛が、やがて他者に移ると考えてもおかしくない。

 ボアテング伯爵に限らず一部貴族達が時期を待とうと考えることは一見合理的に見える。

 とはいえ、皇帝の寵愛は地獄でシュザンナさんに再会したらどうなるか分か
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