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忘れ形見の孫娘たち
6.お別れをしに来たんじゃない
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「大体なんでアンタと一緒に提督さんに挨拶しなきゃいけないのよ!」

 午後三時を過ぎた頃。ピンポンの音よりも早く、玄関から聞こえてくる怒号が来客を告げるという珍しい経験をした。

『かずゆき〜……早く開けて〜……鈴谷もうムリ……』
「はいはい今玄関開けますよ〜……」

 スマホに届いた珍しい鈴谷からのSOSを見て、急いで玄関を開ける。その途端……

「もう一回言ってみなさいよ一航戦!!」
「何度でも言うわ。あなたたち五航戦なんてまだまだよ」
「私だけじゃなく翔鶴姉まで……!!」
「この前『あんなん余裕でしょ』って調子こいて出撃したくせにすぐ大破して戻ってきたのは誰だったかしら?」
「ムギギギギギ……!!」
「文句言われたくなかったら実力で黙らせることね」

 そんな言い合いが玄関に響き渡り、僕の精神テンションはひどくげんなりしてしまった。

 いつもの女子高生スタイルの鈴谷と一緒にいたのは、妙に仲が悪そうな弓道着姿のふたり組。一人は青を基調とした弓道着を着ている黒髪でサイドテールのクールビューティーぽい感じの女性で、もう一人は迷彩柄という珍しい弓道着を着たツインテールの賑やかな子。

「……やっぱコスプレか」
「……あんた誰よ?」

 ツインテールの子が僕のコスプレ発言に噛み付いてきた。……あーなるほどねー。もうキャラそのものになりきってる感じなのねー。

「タハハ……瑞鶴さん、もうずっとこんな感じで……」

 珍しい光景だ。あの傍若無人な鈴谷が困り果てて苦笑いをしておるわ。まぁ気持ちはわからなくもない。……一人は常にカリカリしてるし、もう一人はそのカリカリを涼しい顔で受け流しつつ正論で追い詰める。このふたり組と同じ空間に居続けるとげんなりして胃が痛くなってくるだろう。

 ツインテールの方……瑞鶴さんとは対照的なクールビューティーな女性は、顔色ひとつ変えず僕の方に頭を下げた。

「和之さんはじめまして。あなたの祖父のひこざえもん提督にお世話になっていました。正規空母の一航戦、加賀です」
「ゲッ……この人が提督さんのお孫さん……?」
「そうよ。ちゃっちゃと挨拶しなさい五航戦」

 クールビューティーな加賀さんにそうたしなめられた瑞鶴さんはちょっとぶすっとした表情で、僕に向かって頭を下げた。

「はじめまして。五・航・戦! の正規空母、瑞鶴です。ひこざえもん提督にはいつもお世話になってました」
「……はじめまして。彦左衛門の孫の和之です」

 二人は僕に向かって会釈をしてはいるが……こんな経験初めてだ。トゲトゲした体感温度が低い空気を目視で確認できるぞ……ここまで険悪なふたりが一緒に挨拶ってどういうこっちゃ?

「あ、アハハ……お二人とも空母なんすか」
「こいつなんかと一緒に
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