―卒業デュエル―
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パソコンのキーボードをカタカタと叩く手が、ふとした瞬間に止まってしまう。アカデミアの自習室においてしばし、俺はパソコンのモニターとにらめっこしていた。
「あら、遊矢?」
「……明日香?」
すると他に誰もいない自習室において、新たな闖入者の姿があった。女子用オベリスク・ブルーの制服に身を包んだ、見慣れた顔をした――明日香だ。どうやら何かを探しているかのように、キョロキョロと辺りを見渡していた。
「ねぇ遊矢。クロノス先生見なかった?」
「クロノス先生? いや……そもそも明日香、そのクロノス先生の授業じゃなかったか?」
異世界から帰ってきた折に、息子であるマルタンとともに違うアカデミアに移っていったナポレオン教頭に代わり、クロノス先生は教頭に所属することとなっていた。とはいえ相変わらず、実技最高責任者も兼任しているクロノス先生は、俺たちの授業を担当しているのだが。
「いないのよ。そのクロノス先生が」
「え?」
ため息を吐いて腕組みをする明日香に、ついつい素っ頓狂な声をあげてしまう。あのクロノス先生が授業をサボるなど、天地がひっくり返らない限りない――と思ったが、最近は腕立て伏せとか漢字の書き取りとか、よく分からない授業だったことを思い出す。
「まったく、何考えてるのかしら。……ところで、遊矢は休みの時間に何してるの?」
「ああ……これがさ、書けなくて」
明日香と違って、この時間の授業は休みだったが。興味津々な明日香にパソコンのモニターを見せると、明日香は納得したような声をあげた。
「進路希望……」
……この様々なことがあったアカデミアの生活も、もう残り僅かな期間しかない。もちろんダークネスに負ける気はないため、これからのことがまったく浮かばない。まるでもやがかかったかのように、白紙のままだった。
「明日香は卒業したらどうするんだ?」
「私は先生になるつもりよ。だからその勉強のために、留学も考えてるの」
「留学!?」
何とはなしに聞いてみた質問だったが、とてもスケールの大きな話が飛び込んできたことに、驚愕でついオウム返しで聞き返してしまう。そんなこちらの様子がおかしいかのように、明日香はクスクスと笑っていたが。
「ええ。海外のアカデミアや教えがどんなものかも知りたいしね」
「凄いな……明日香は」
――私はこのアカデミア本校流の教え方しか知らないし、と言葉を続けていった明日香に対して、心の底から感嘆の念を込めた。すると明日香は、キョトンとした表情でこちらを見返していた。
「何言ってるの。遊矢、あなたのおかげなんだから」
「俺の……?」
「そ、それに!」
こちらの疑問の声に対しては、照れたように声をまく
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