3部分:第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三章
「ゆっくりと過ごそうよ」
「わかったわ。じゃあ土曜ね」
「楽しみにしていてね」
こうしてだった。二人はだ。その土曜日に淳司の実家でバイエルン料理、そしてワーグナーにまつわるその食べものを食べることにしたのだった。そうしてだ。
香菜は淳司のその実家に来た。そこでだった。
リビングにある大きなテレビでだ。ワーグナーのオペラ、ローエングリンを観た。そのオペラはというと。
まさにロマンだった。白銀の騎士が美貌の姫の窮地を救いに水辺からやって来る。その姿を観てだ。
香菜はテレビの前で息を飲みだ。思わずこう言った。
「凄い、何か夢みたい」
「どう?凄いでしょ」
リビングの隣のキッチンからだ。淳司の声がしてきた。
彼は丁度そのバイエルン料理を作っていた。その中から応えてきたのだ。
「そのオペラは」
「オペラはテレビとかで結構観てきたけれど」
「どんなの観てきたの?」
「モーツァルトとかね」
言わずとしれた音楽史上最大の天才と言われている人物だ。
「フィガロの結婚とかね」
「ああ、あれね」
「他にはヴェルディとかも」
「イタリアの作曲家だね」
「アイーダ好きよ」
ヴェルディの代表作の一つだ。古代エジプトを舞台にしたかなり派手な作品だ。
その作品も観たとだ。香菜は画面を前に淳司に述べる。
「あれはいいわね」
「結構知ってる?オペラのこと」
「少し観た位だから」
そこまではというのだ。
「私もね」
「そうなんだ。じゃあワーグナーは」
「今観るのがはじめてよ」
「そうなんだね」
「けれど。凄いわね」
はじめて観るワーグナーの作品はだ。どうかというのだった。
「こんな夢みたいな舞台が本当にあるなんて」
「気に入ったみたいだね」
「ええ、とてもね」
実際にそうだと答える香菜だった。そしてだ。
オペラは進みだ。その結末まで観てだ。
ほう、とした顔でだ。彼女は言うのだった。
「悲しい結末だけれどそれでも」
「感動した?」
「ええ、満足したわ」
悲しみはあった。だがそれ以上にだ。
画面の前で満足してだ。淳司に言ったのである。
「観てよかったわ」
「そう言ってもらえると何よりだよ」
「長かったけれどそれでも」
どうだったかというのだ。今度は時間にまつわる話だった。
「また観たいわ」
「そうだね。それじゃあね」
「お料理できたの?」
「うん、できたよ」
丁度いい具合にだ。そっちもだというのだ。
「じゃあ早速食べようか」
「ええ、それじゃあね」
こうしてだった。キッチンのすぐ傍のテーブルの上にだ。彼はそのバイエルンの郷土料理を次々と持って来た。それはどういったものかというと。
まずスープだ。それはだ。
巨大な肉団子が中に入
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ