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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第11章 フェザーンへ 前編 
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 宇宙歴793年 6月1日
私は統合作戦本部出頭を命ぜられた。
つい2日前までは延長休暇申請をしてニコールとともにハイネセン南部のシルミオーネで休暇を取っていた。
ニコールの勤務地着任は6月1日付となっていた。
エル・ファシル掃討作戦派兵での戦力移動に伴う混乱のせいであった。
シルミオーネではコテージを借り切ってして生活した。
ニコールと一緒に散歩したり料理を作ったり夕日を見に行ったり本当に至福の時であった。
そして何よりも私を落ち着かせたのは一切の軍と関係あるものを見なかったことである。
シルミオーネは非武装都市であるためこの都市の行政区画内には一切の軍事施設、訓練所、駐屯地が存在しない。
そんな中で私たちは一日一日を過ごしていた。

戦死したヒロキ・ルブルック中佐のことを思うと必然と軍務から一切離れた空間が無性にありがたくなってしまうのだった。
私はハイネセン帰還後1週間戦死した第3中隊員たちの報告書と戦闘報告書をまとめていた。
それと合わせてルブルック中佐の遺族に関しての手続きも行っていた。
ルブルック中佐の奥さんはエリー・ルブルック少尉であった。
そして、遺児のエリック君はまだ0歳
ルブルック中佐にはいろいろと世話になったし何よりも我々は戦友であった。
だからこそ彼と彼の遺族のために働きかけなくてはいけなかった
私は統合作戦本部の人事部に勤める旧知の友人を頼った。
それは、フョードル・パトリチェフ少佐である。
パトリチェフ少佐は私が士官学校4年生であったときの近接格闘戦技教官であった。
士官学校を卒業して少尉任官後も何かとお世話になっていた先輩であった。
お世話になった時に礼をするといつも
「おう!いつでもまた来いよ!出世払いでな!」
といったいい人なのであった。
統合作戦本部人事課にはいろいろと因縁があるので行って睨みつけられるのもしゃくなので、パトリチェフ少佐と近辺のパブへ飲みに行ったときに話をすることにした。
「パブ・チキン」
というふざけた名前のパブは士官学校時代によく飲みに行ったところだった
ここではフライドチキンが名物なのだ。
先にいた少佐の隣には若い大尉がいた
私は敬礼すると
少佐は
「おう!来たな!」
と言って隣でスコッチをすする大尉を指して
「こいつはダスティー・アッテンボローだ。」
するとアッテンボロー大尉は
「彼ですか?あの噂の中尉君は?」
そしてひょろ長い腕を差し出してきて
「ダスティ・アッテンボロー大尉だ
今は統合作戦本部作戦課勤務だ。
よろしく。」
と言って私はその手と握手した
とてもでかい手だった
自己紹介等を済ませて本題に一気に切り込んだ
「…ということなんです少佐」
と一気にしゃべりきった
少佐はちょっと考えてから
「たぶん
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