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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第32話
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ュバルツオークション)”に集中しきれないから言わない方がいいわね。)――――今は何の仕事をしているかは知らないけど、以前は遊撃士協会の受付をしていた人よ。」

エリィにキリカの正体を訊ねられたレンは考え込んだ後キリカの過去を答えた。

「ええっ!?遊撃士協会の!?」

「ええ。しかも武術の腕前も相当で、あのバルバトス・ゲーティアをレン達と一緒に撃退した事もあるわよ♪」

「オイオイ……バルバトス・ゲーティアって”星見の塔”で現れたあの滅茶苦茶な野郎だろう?あんな野郎を撃退できる実力があるとか、おっかなさすぎだろ……」

驚いている様子のエリィに答えた説明を聞いたランディは疲れた表情で溜息を吐き

「そう言えば一昨日もキリカさんが逃亡した犯人を足止めしてくれましたよね?」

「ああ…………『人は見かけによらない』とはよく言ったものだよ……」

ティオの話にロイドは疲れた表情で頷いた。するとその時水上バスの汽笛が鳴り、汽笛を聞いたロイド達は水上バスに乗り込み、そして水上バスは出航した。その後水上バスがミシェラムに向かっている最中キリカや帝国貴族と名乗ったレクターと話をしたロイド達が席に戻ると水上バスは保養地―――”ミシェラム”に到着した。その後ロイド達は会場の様子を見に行く為に、”ハルトマン議長邸”に向かった。



〜ミシェラム・ハルトマン議長邸〜



「あれがハルトマン議長邸………すごいな……屋敷というより城みたいだ。」

「まあ、クロスベルでは昔からの名士の家系だから………あの屋敷も、百年近く前、帝国の統治時代の総督邸として建てられたものだと聞いているわ。」

「それにしたってデカすぎだろ。帝国の大貴族じゃねえんだから。」

「確かに帝国貴族の中でも最も権力がある”四大名門”の城館とも見劣りしない大きさね。」

議長邸の大きさに驚いているロイドに説明をしたエリィの話を聞いたランディは呆れた表情で溜息を吐き、レンは興味ありげな表情で議長邸を見つめていた。

「あんな場所を使って開かれるという”競売会”………相当、大規模なものみたいですね。」

「ああ―――あれは……!」

そしてティオの言葉にロイドが頷きかけたその時、マフィア達とガルシアが入口から現れ、ガルシアに自分達がいる事を気づかれない為にロイド達は物陰に隠れた。



「―――警備の手筈は例年通りだ。だが、今年は”黒月”どもが仕掛けてくる可能性も考えられる。招待カードを持ったヤツ以外は誰であろうと通すんじゃねえぞ。」

「承知しました!」

「若頭の方はどうされます?」

「俺は屋敷内部の警戒に当たる。何しろ神出鬼没なヤツだ。警戒しすぎる事はねえだろう。………そういえば、出品物は全部搬入されたのか?
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