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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第23話
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―それじゃあ、あのファイルにあった情報は全て事実ってわけですか………」

「ああ、そうだ。誰が調べたモンかは知らんがなかなか的確にまとめてやがるな。」

「で、でも………警察の上層部では全て掴んでいるんですよね?」

「ああ、全員とは言わねぇがな。警部クラス以上はもちろん、一課の連中は全員知ってるハズだぜ。遊撃士協会だって受付やアリオスあたりだったらとっくに承知しているだろ。」

「くっ………これも”壁”ってわけですか。」

セルゲイの話を聞き、今までクロスベル警察が”黒の競売会(シュバルツオークション)”に対して何もしなかった事情を察したロイドは唇を噛みしめた。

「ああ………とびきりデカイ”壁”だ。基本的に俺は、お前達の行動に制限を付けるつもりはないが………”黒の競売会(シュバルツオークション)”にだけは手を出すのは止めろ。お前達には荷が重すぎる。」

「で、でも………!」

セルゲイの話を聞いたロイドは悔しそうな表情で反論しかけようとしたその時

「おいおい、課長。言葉を間違えてんじゃねえよ。俺達に荷が重いってより、警察そのものが動けねぇんだろ?」

ランディが目を細めて尋ねた。



「………………………」

尋ねられたセルゲイは黙り込み

「それだけの有力者を招待して、しかも実質的な主催者の一人があのハルトマン議長………そんなの動けるわけがないわ。」

「民間人に危険が迫らない限り、遊撃士協会も動けませんし………誰も手が出せないという事ですか。」

「そうね。それこそ非合法な人達―――例えば”黒月”あたりが非合法な事でしか手を出せない状況ね。」

エリィは複雑そうな表情で、ティオは疲れた表情でそれぞれ推測し、二人の推測に頷いたレンは意味ありげな笑みを浮かべた。

「だ、だからと言って………!」

「………悔しい思いをしてんのはお前達だけじゃねえ。特に一課の連中は毎年、歯軋りするような思いだろうさ。非人道的な催しだったらそれこそギルドに動かれる前に意地でも突っ込むところだが………どうやら出品物が”黒い”以外は豪華なパーティーってだけらしいからな。」

「くっ………」

「実際、下手に手を出しちまったら支援課ごと潰される可能性は高い。だから今回ばかりは俺もお前らを止めざるを得ない。ま、そういうことだ。」

「「……………………」」

「ハッ………」

「……やれやれです。」

「………(さて、このまま本当に諦めるのかしらね?)」

セルゲイの指示に反論せずそれぞれ悔しい思いを抱えて黙り込んだロイド達をレンは興味ありげな表情で見守っていた。



「―――納得しろ、とは言わん。」

するとその時セルゲイがロイド達を見回してロイド達にとっ
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