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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第16話
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その後開幕した劇は何事もなく順調に進み、後半の初めが始まった。



〜アルカンシェル〜



「ふう……どうやらプレ公演は何とか乗り切れそうだな。」

「ええ、回ってみたところ不審な人も見かけなかったし。」

「ロイド様、エリィ様………!」

ロイドとエリィが出入り口付近で会話していると、劇場の支配人が慌てた様子で2人に近づいてきた。

「バルサモ支配人………」

「どうなさったんですか?」

「それが………少々、不審な動きをされているお客様がおりまして………しかも、招待客リストの中にはいらっしゃらなかったのですが………」

「え………!?」

「ど、何処にいたんですか!?」

支配人の話を聞いたロイドは驚き、エリィは表情を厳しくして尋ねた。



「右奥にある階段の上です。どうやらS席の様子をこっそり伺っているらしく……」

「わかりました………!すぐに確認してきます。」

「支配人はこちらで待機していてください!」

「は、はい……!」

支配人に指示をした2人は急いで右奥にある階段がある通路に入って行った。

(な……!?)

(あの人は………!)

通路に入った2人は階段の上でS席を伺っているある人物を見て驚いた。



「まったく、どうしてダドリーがこんな場所にいるんだか………!せっかくのスクープを前にお預けもいいところだわ………!かといってシャッターを切ったらあいつに気付かれそうだし………」

S席を伺っているある人物―――グレイスは悔しそうな表情をした後、溜息を吐いた。

「グレイスさん……!」

するとその時ロイドとエリィが走って近づいてきた。

「あらら………ロイド君!?エリィちゃんも………こんな所で何しているのよ?」

「それはこちらの台詞です………!」

「グレイスさん、どうしてここに?招待された訳ではありませんよね?」

「あはは………実はちょっと訳があって………裏技使って入っちゃったのよ。」

2人に尋ねられたグレイスは苦笑しながら答えた。



「う、裏技………?」

「んー、内緒にしてね?清掃業者の人達に紛れてコッソリと……って感じ?」

「ええっ!?」

「ど、どうしてそんな事を………」

グレイスの説明を聞いたロイドは驚き、エリィは表情を厳しくしてグレイスを見つめた。

「だってだって〜。ウチに来た取材用のチケット、他の記者に取られちゃったんだもん!プレ公演は見たかったし、他のネタを追ってる所だし、これは忍び込むしかないじゃない?」

「あ、あのですね……」

「……何て人騒がせな………」

グレイスがアルカンシェルの潜入した理由を知った2人はそれ
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