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Three Roses
第二話 幼きよき日々その七
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「それも勢いよく」
「貴族達にもな」
「そして農民達にも」
「これまでは職人達に多かったが」
「我が国は王権が強いです」
 代々の王達がそうしてきたのだ、そしてこの王もそうした政策を採っている。王に権限を集めていって中央集権的な体制にしているのだ。
「そのこともあり」
「そうか、ではだな」
「旧教徒を刺激せず」
 そのうえでというのだ。
「新教徒を厚遇し」
「そうしていきな」
「王権の強化にも務めますか」
「これまで以上にな、しかしだ」
「旧教への配慮も忘れない」
「そうだ、だから弾圧はせずにだ」
 それにというのである。
「ロートリンゲン家からも迎えるのだ」
「そうされますね」
「ロートリンゲン家からは何と言って来ている」
「はい、帝国の大使とお話しましたが」
 この国に来ている、だ。国交があるのでお互いに大使を頂点とした外交官達を送り込んで交流を行っているのだ。無論情報収集も行っている。
「好感触でした」
「そうなのか」
「我が国は今は新教の国ですが」
「それでもだな」
「やはり縁組はしたい様です」
「そうだな、しかしだ」
「その縁組はですね」
 大公も目を鋭くさせて王に応えた。
「ロートリンゲン家にしてみれば」
「我々は旧教と新教のバランスを考えてだが」
「あの家は違いますね」
「あの家は旧教の守護者だ」 
 そう言っていい家だというのだ。
「皇帝の冠は旧教の法皇より授けられる」
「法皇自ら戴冠します」
「国のはじまりもそうだったな」
「はい、帝国の」
「帝国は法皇庁を蛮族から守った功によりロートリンゲン家の初代であるハインリヒ公が戴冠されて成立した」
 王は帝国の歴史もわかっていて言う。
「それからも法皇の後ろ楯であり続け」
「帝国の権威もまた、ですね」
「法皇庁に認められている」
「まさに持ちつ持たれつの関係ですね」
「両者は太陽と月だ」
 そこまで言っていい関係だというのだ。
「どちらが太陽でどちらが月かまではわからぬがな」
「法皇が太陽」
 大公はあえて言った。
「そして皇帝は月ですね」
「グレゴリオ三世の言葉だったな」
「あの方はそう仰っていましたね」
「今は皇帝の方が強いがな」
「大陸のかなりの部分を治め」
「皇帝の権限の拡大に務めている」
「帝国内の諸侯は次第に抑えられています」
 その皇帝によってだ。
「反発も強いですが」
「皇帝にだな」
「抑えられ大陸、西方から東方のかなりの部分が」
「帝国のものとなりかけているな」
「そして異教徒達も防いでいます」
 彼等がいる大陸のさらに東を治めている、大陸全土を合わせた以上の力を持っているとさえ言われている恐るべき者達だ。
「大陸の旧教は」
「帝国が守護している」

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