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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第9話 黒染めの化け物(前編)
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 つややかな黒髪が、さらさらと風に揺れる。少年は息を上げながらも走り、その背中を追っていた。
「おい待てよ、モミ!」
「えへへ、やだよー!」
 ちらりと少年を振り返った少女はあっかんべーといたずらっぽく笑い、パッとまた走り出す。追いつくようで追いつかない微妙な速さで、距離が開いては縮まる。その繰り返しだ。
 しかし、何回かそれをしたあと、疲れたのか、飽きたのか、ぴたりと足を止め、振り返った。その瞳は、不安そうに揺らいでいる。
「スグたちと、離れちゃったね」
  少年の腕に、少女の手が回った。ぎゅっとしたその締め付けは痛いくらいで、少女の不安をそのまま表しているようだ。少年はなんとか明るくするべく、口を開いた。
「そ……、そうだ! 今日の劇、すごかったよな!」
 すると、少女はぷくりと口を膨らませながら、
「劇じゃなくて、歌劇!」
「同じようなもんだろ?」
「違うもん! 歌劇は、歌って、躍って、お芝居もするの!」
 ぱっと腕を離した少女は、その場でくるりと回った。少し回転をしただけなのに、その動きはなめらかで、可憐だった。
「モミは、お芝居も出来るんだからすごいよなぁ……。今日だって勉強のつもりで母さんたちにお願いしたんだろ?」
「うん、そうだけど……。やっぱりバレエが一番好きだよ!」
 にっこりと笑い、そしてまたくるくると回った。
 くるくる。くるくる。
 長い髪も、少女と一緒にくるくると回る。
「あ、じゃあ、兄さん! クイズ出してあげる!」
「クイズ?」
「そう! ……なんで私がバレエをやっているのでしょーか?」
「なんでって……、さっきモミが自分で言ってただろ」
「そうだけど、……うーん、じゃあ考えておいて! いつか、教えてあげる――――……」

 私が、バレエを続けている理由を。



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――――――――*――――――――



 俺――――キリトの目の前には、天井までつく巨大な扉が構えている。その威圧感は凄まじく、自然と体は強張っていった。だが、俺たちを含めた約四十名を包む微妙な緊張感は、そのためだけではない。これから行われる第一層ボス攻略戦――――、しかもほとんどの人間が初めての経験だ。……まぁ、これは何十回とやっても慣れることはないだろう。
 しかし、現段階で、俺はこの中でもっとも集中できていないと断言出来る。しかしそれは、ベータテスターだったという事実から来る余裕ではない。
 ……夢を、見たから。
 あちらに残してきた二人の“妹”の内の一人、紅葉と俺が話している幼い日。
 ありきたりだけれども、俺にはもう出来ないだろうその会話。まだ俺も、紅葉も何も知らなかった、ただただ純白で彩られていた頃のことのはずだ。
 紅葉と最後に交
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