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ソードアート・オンライン 舞えない黒蝶のバレリーナ (現在修正中)
第一部 ―愚者よ、後ろを振り返ってはならない
第1章
第5話 君の瞳、僕の瞳(後編)
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しら。街の中心から離れて行っているようだけれど」
「うーん、内緒」
「そう」
 空を見上げてみれば、暗い赤色と深い藍色が入り混じっていた。もうすぐ完全な闇に包まれるだろう。ますます不気味さが増していた。思わず眉をひそめ唇を噛み締めた時――――、ふわり、と甘い匂いがした。
「着いたよ」
 その声に、開きっぱなしにしていたウィンドウを慌てて閉じる。顔をバッと上げた。瞬間、言葉が消える。
「……え」
 目を見開いた先、そこには……。

 一面の、花畑が広がっていた。

 色とりどりの花々が、街灯の淡い光に照らされている。ヒラヒラと舞うソレが、幻想的な雰囲気をさらに引き出していた。私の両目が、ゆっくりと見開かれていく。
「……こ、こんな所が……」
「そう。あんな細い道を通る人ってなかなかいないし、ここに来るまでに何回も分かれ道があるからね。人が全然来ないから、静かで良い所だよ」
「これを、見せたくて……?」
「うん。キカちゃん、好きそうだから。……気に入ってくれるかどうか心配で、つい無言になっちゃったけど」
 ……ああ、そういうことだったのか。
 変に警戒してしまった自分がおかしくて、喜ばせようとしてくれた彼に申し訳なくて、私は眉を下げて笑った。ネージュはそれにニコリと返し、掴んでいた私の手を名残惜しそうに離すと、花畑の方へ近づいていく。よく見ればちゃんと舗装された小道もある。透き通る小さな池も合わさって、大分かわいらしいスポットだった。あまり人に見られないなんて、惜しい。……まあでも、たとえ彼と私しか知らなかったとしても、それはそれで良いと、ぼんやり思う。
「キカちゃん」
「何?」
「……怖がらせて、ごめんね」
「そ、そんなことないわ。大丈夫よ」
 ドキリとしながら、軽く手を振って誤魔化そうとする。けれど彼は私が疑念を抱いていた事に気付いていたようで、申し訳なさそうな表情を崩さない。
「気にしないで、本当に平気だから」
「そんなわけには……、――――ああ、そうだ!」
 当然嬉々とした声を上げて両手を打ち合わせたかと思うと、ネージュが私の手を握って身を翻した。私はぎょっとして、
「ちょっ、ちょっと、ネージュ!?」
「こっち来て!」
「もう……」
 引っ張られるまま彼に付いて行った。今度は後ろではなく、隣を。約束の30分がもうそろそろ過ぎようとしていたけれど、思考の彼方に投げ捨てた。
 進行方向の先には、これまた可愛らしい小屋。どうやらNPCの店らしい。暗くて看板が良く見えなかったが、近づくにつれ文字がハッキリとしてくる。
「花屋?」
「うん。耐久値はそんなにないけれど、香りとか形が本物そっくりなんだ」
「へえ、面白いわね」
「ちょっと季節感バラバラの品ぞろえだけどね」
 説明しながら手早く買い物を
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