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カンガ
第四章
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「ですから」
「その時はですね」
「出来るだけカメラも持つ様にします」
 その備えもするというのだ。
「ですから」
「では」
「次はやります、ただ何かとです」
「機会は、ですか」
「そこに行く機会がないので」
「地理学者としてですね」
「実はケニアではなくタンザニアのことで」
 別の国で見たからというのだ。
「中々行くことも難しくて」
「同じ民族がいても国が違いますと」
「アフリカはまだEUみたいにはいきません」 
 往来が自由にはいかないというのだ、国と国の間の。
「ですから」
「タンザニアに行くにも」
「手間もかかって。機会がないと」
「行けないですね」
「そしてその川辺に行くことも」
 タンザニアのそこにというのだ。
「中々なんですよ」
「難しいのですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「そこまではです」
「機会が中々ないですね」
「早くあって欲しいですが、それに相手は未確認動物なので」
「また見付かるかどうかはですね」
「はっきりしていませんからね」
 だからこその未確認動物だ、常にその場所にいるかというとそうではない。中々見付かることはないのである。
「ですから」
「では運がよければ」
「そうなりますね」
 二人で水ライオンという未確認動物について話をしながらだった、その村に来た。すると。
 村の女達は赤や緑のくるぶしまでの身体にぴったりとした一枚布を巻いてだ、その上に様々な、文字や妙や植物のデザインを描いたかなり派手な一枚布をマントの様に羽織って前で縛っている。赤や青、木色、緑にオレンジにと実にカラフルでだ。
 首には黄色やオレンジや赤のビーンズのネックレスが幾つも飾られていてブレスレットを付けている娘も頭にバンダナ、やはり赤やオレンジで模様もあるカラフルなものを着けている。その見事な華やかさを見てだった。
 フリードリヒは思わずだ、こう言った。
「カンガですね」
「はい、実はこの服の名前もです」
「カンガですか」
「そう呼ばれています」
 実際にというのだ。
「そうなんです」
「そうですね、この色合いの鮮やかさと華やかさは」
「カンガそのものですね」
「そう思います」
 こうワンガリにも答えた。
「私も」
「そうです、これがです」
「スワヒリ人の服ですか」
「我々の民族衣装です」 
 それだというのだ。
「そうなのです」
「そうですね、それと」
「それと?」
「カンガは一枚布ですから」
「はい、それはわかります」
「テーブルクロスにも使えます」
 そうした服だというのだ。
「この服は」
「そうですか、生活に順応している服でもあるのですね」
「そうです、いいですね」
「はい、とても」
 フリードリヒは黒い肌の美女
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