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アインクラッド篇
movement V 迫り来る狂気の行進曲
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「いらっしゃいませー!ご注文は?」
「エール二つ。それと海鮮パスタ。」
「あ、後イカ大根下さい!」
「かしこまりましたー!二名様ご案内でーす!」
唐突だが今、俺は接客業の真っ最中だ。何でって?あのバケモノお姉さんのせいだ。
「アマギ君!これ二番テーブルにお願い!」
「ハイハイ!……ったくなんでこんなことに…………。」
「文句言わない!さあ、働くのだ!」
今の最前線は56層。あの死闘から既に一月半経っている。終わった直後こそ、剣聖スキルや裏ソードスキルについて質問責めにされたが、最近は落ち着いている。ようやく諦めてくれたのだろう。《鼠》の奴にも口止め料払っておいた。百万コルも積んでおけばまず話すまい。
「アマギ君、次は七番テーブルだ。」
「はーい。」
「なんだい、元気ないじゃないか?」
「イエイエ、セイシンセイイツトメサセテイタダイテイマス。」
「随分な棒読みだねぇ。」
俺がやっているのは星月夜亭のウェイター。店員NPCが足りないから手伝って、とのシエラさんからの命令だ。何故俺だけ………………。
そんな事を考えていると、突然店のドアが勢い良く開いた。
「いらっしゃい……あれ?」
入ってきた男の顔は知っていた。確か………中層のギルド《シルバーフラグス》のリーダーだ。よく仲間と来ている常連客だ。だが、今回は仲間はいない。よく見ると顔も憔悴しきっている。ただならぬものを感じ、声をかける。
「どうかしたのか?」
「あ、アマギさん…………。」
すると男は、突然俺のズボンにすがり付いて泣き出した。
「おわっ!?な、何だいきなり!?」
「お願いがあるんです!!」
突然の懇願をはじめた男、どうにか落ち着かせると、男は事の経緯を話し始めた。
つい先日、ギルドに興味がある。仮入団させてくれないか、と尋ねてきた女性プレイヤーがいた。ロザリアという名前の十字槍使いで、気のいい彼と、その仲間達は快く了解した。
そして今日の朝、丁度この層で探索していたところ、オレンジプレイヤーの集団の強襲を受けた、包囲され逃げ場を無くしたとき、突如ロザリアが、哄笑を上げながらオレンジプレイヤー達に混ざった。彼女は高笑いを続けながら、自分がそのオレンジギルド《タイタンズハンド》のリーダーだと話した。その後、ギルドメンバーは彼を逃がすために、全員が彼の目の前で殺されたと言う。しかし、そのメンバー達の犠牲のお陰で、包囲に穴があき、必死にここまで逃げてきたのだと………。
「そうか………。」
全てを聞いた俺は、そう呟くしかなかった。気遣いも何もあったものではないが、逆にどう声をかけろと言うのだろう。代わりにこう尋ねた。
「で?頼みってい
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