暁 〜小説投稿サイト〜
小さかったあの娘
5部分:第五章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第五章

13.消えた雪
 降ったと思ったらもう止んでいた

 白い雪は気紛れに止んでしまった

 そんな雪を残念に思っていると

 また降り出す  何かからかわれているみたいだ

 雪にからかわれてもどうにも思わないけれど

 それでも何か妙な感じだ

 その感じを胸に思いながら窓を見ていると

 また降り出してきた  やはりからかわれている

 ふとそう思っているとまた止んだ

 そしてそのままそれっきり

 止んだ雪はその日は降らなかった

 
 止んだと思ったら降り出すのは

 白い雪の性格が悪戯好きなのか

 そう雪に文句を言いたいという気持ち

 また止んで  そしてまたすぐに降り出すから

 気紛れな雪に思っても仕方ないけれど

 それでも心で言いたい

 そのまま降り続いて街を染め上げてくれ

 そう願うと降り続けて  街を白く化粧してくれた

 白い雪に感謝して今は

 一人雪を見て微笑む
 
 白銀の街を窓から眺めながら


 そしてそのままそれっきり

 止んだ雪はその日は降らなかった


14。雪の中で
 積もった雪の中からちらりと見えた赤いもの

 それは花だった  一輪の造花だった

 その造花を手に取ると白い雪も目に入った

 赤い花が白い雪の中にあるのは

 不思議と変に思えなかった

 むしろ当然のように僕には思えた

 赤と白が冬の中に映えて

 冬景色を飾っていた

 造花はその手に取って

 雪の結晶は空に放り投げると消えた
 
 その消えた雪を見てふと哀しくなる気がしたけれど

 一瞬のことだった  すぐに忘れて道を進む

 
 赤い造花を拾った僕はそのまま歩いていく

 雪の白い道  ただ一人歩いて
 
 道には他に誰もいはしないのだけれど

 不思議と寂しくはなかった

 胸に赤い花があるだけで

 それだけで充分心は温まる

 赤い花が白い心に映えて

 心を楽しくさせる

 造花だけれどそれは花

 花は何時までも心に残り

 白い雪で冷たくなりそうな僕の心を暖める

 そんな花を見て  一人雪の中笑っていた


 造花はその手に取って

 雪の結晶は空に放り投げると消えた
 
 その消えた雪を見てふと哀しくなる気がしたけれど

 一瞬のことだった  すぐに忘れて道を進む


15.寂しい赤
 赤い髪の女の子  一人そこに座っていた

 誰かを待っているのか  哀しい顔で

 一人そこに座っていたよ

 そんな彼女を見ていると  声をかけたくなる

 寂しい顔で僕も
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ