暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
6話 セシリア戦
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 ―――もっとシンプルに、その欲求に従ってもいいんだよあの子は。

 ―――シンプルに、欲求に従う、ですか?

 ―――そうそう。あの子はまだまだ子供だし注目も浴びているから色んなことを考えているんだよね。言い方は正直あんまりよくないけど集中しきれていないんだよ。

 ―――あの強さで、ですか?

 ―――うん。今は結構集中しきっていることが多くなったから成績を出せるようになってきたけど、どの試合でも集中が最高潮に入るなら今よりも勝率が上がるよ。

 ―――ここ最近、大きな活躍が目立つようになった月夜選手ですが、アヤネ選手から見るとまだ上があると?

 ―――プレイヤーとしてのピークはまだまだ先だろうし、経験も足りていないよ。だけどあの子の集中力ははっきり言って14歳のそれじゃないよね。

 ―――と、言うと?

 ―――普通あれくらいの子供ってさ、どうしてもその日の体調とか調子に振り回されるんだよね。だからプロゲーマーとして安定した成績を出し続けるってのは本来不可能なの。

 ―――ですが月夜選手は国別対抗戦、三大大会、そしてワールドリーグなど様々な大会で結果を出していますね。

 ―――プロゲーマーとして、とか、勝負の場は、とか色々と考えているけどぶっちゃけあの子にとってそれは『不純物』なの。

 ―――『不純物』ですか?

 ―――そう。あの集中力を生み出しているのは誇りだとか使命みたいな物じゃなくて、プレイヤーとしてすごいシンプルなの。

 ―――その答えは一体?

 ―――ふふっ、『負けたくない、勝ちたい』っていう思いだよ。あの子のシンプルな欲求はとんでもない力を引き出すよ。時に格上を食うほどにね。だから数多くの逆転劇を生み出し、鬼とまで言われるようになったのよ。

   ―――ワールドリーグ決勝後 女性トッププレイヤー アヤネ インタビューから一部抜粋。



 指先と心に熱が宿るが、頭と意識は冷め切っているという不可思議な感覚。
 過去に何度も経験した理想に近い精神状態。e-Sportsの大会でこの状態にコントロールすることは何度もあった。感情をコントロールできないプレイヤーは最後に勝利を取ることはできない、昔、鬼一はそう教えてもらっていた。
 数多くのプレイヤーたちと全てを賭して戦う時のスタートライン、身も心も焼き尽くして相手にぶつけるための儀式のようなものだ。

 何度も、静かに、深く、呼吸を繰り返す。

 鬼一の体にフィットする黒に赤色のラインが入った、ISスーツに身を纏って何度も深呼吸を繰り返す。
 イギリス代表候補生のセシリア・オルコットとの模擬戦。クラス代表を決める戦い。だが、そんなことはどうでもいい。
 勝率は限りなく低い。鬼一の中では1桁あるかど
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