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Three Roses
第一話 運命の薔薇その二

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「暖かい心を持っている」
「それで、ですか」
「赤薔薇なのだ」
「赤は暖かい心」
「それを持っているからだ」
「マリー様は赤薔薇なのですね」
「そうだ」
 この色の薔薇を贈っているというのだ。
「そうしている」
「そうだったのですね」
「そしてだ」
 王は廷臣達にさらに話した。
「マリアの白はだ」
「その白薔薇は」
「どうしてでしょうか」
「あの娘は清らかな心を持っている」
 マリアについてはこう言うのだった。
「誰よりな」
「確かに、マリア様はです」
「非常に清らかですね」
「澄んだお心の方ですね」
「だから白薔薇なのだ」
 この薔薇を贈っているというのだ。
「あの娘はそうした心だからな」
「それで、なのですか」
「マリア様は白ですか」
「マリー様が赤であるのに対して」
「あの方は白ですね」
「そうだ、そしてセーラだが」
 彼女はというと、二人の友人であり王にとっては家臣の娘でありながら自分の娘の様な存在である彼女は。
「あの娘は幸運だな」
「そういえば」
「デュプレ公もそう言っておられます」
「非常に運がいいと」
「そうした娘御だと」
「黄色は幸運だ」
 それを象徴するものだというのだ。
「その色だからだ」
「公女にはですね」
「黄色い薔薇」
「誰よりも運がいい故に」
「幸運の薔薇ですか」
「あの娘の幸運は自分に対してだけではない」 
 王はこうも言った。
「他の者達もだ」
「幸運にする」
「そこまで大きな幸運ですか」
「そうなのですね」
「そうだ、だからあの娘には黄色の薔薇を贈っているのだ」
「ではマイラ様は」
 最後には彼女だった。
「あの方は何故黒薔薇でしょうか」
「それはな」
「はい、どうしてでしょうか」
「黒薔薇は知性だと思っている」
 王はまずは黒薔薇についてはこう答えた。
「あの娘は聡明だ、だからだ」
「黒薔薇ですか」
「確かにマイラ様は深い知性をお持ちです」
「学問にも秀でておられます」
「信仰も熱心です」
「その信仰熱心が気にもなるが」
 しかしというのだ。
「だがな」
「あの方は深い知性を持たれている」
「それ故に黒薔薇ですね」
「あの薔薇を贈られているのですね」
「そうだ、四人にはそれぞれの色の薔薇を贈り」
 そして、と言うのだった。
「ジョンにはな」
「太子には、ですね」
「あの方には」
「紫だ」
 この色の薔薇をというのだ。
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