第三部
名誉と誇り
にじゅうなな
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のプロであるから、多少の無理は効くだろうし承知の上だろうが、余力のあるときに休むのは決して悪いことではない。
思い思いに地面に腰を下ろして休息を取る彼らを立体映像で確認し、私は森の外の陣を映す映像を確認する。
そこに映ったのは第2騎士隊を中心として、他の傭兵と王国兵との混線部隊が、先遣隊とは異なる方角からアプローチを掛けようとしているところであった。
当然、ヴァルクムントもその場におり、むしろ先陣を切る勢い、というよりもそのつもりなのだろう。肩に担いだ偃月刀を弾ませている姿に、私はヘルメット内で苦笑いする。
「いいかクソ餓鬼共! 俺達は先遣隊とは別方面から調査に出る。目ぇかっぽじって周囲を見渡せ!」
ヴァルクムントの号令に、威勢のいい声が森を突き抜けていく。
流石、生きた化石。もとい、生ける伝説。
こんな乱雑な部隊を纏め上げるそのカリスマ性に、私は舌を巻く。
別に彼らの目の前でヴァルクムントが何かをしたわけでもない。張り上げた声一つで、立場の異なる人間を纏め上げたのだ。
そう考えてみると、後ろでふんぞり返って、全然言葉を発しなくてもその多くが黙って付き従う存在に私は気付き、「エルダーってすごいんだなぁ〜」と、思ってしまった。
THE 他人事。
そんな馬鹿らしいことをぼんやりと考えていた私は、ヴァルクムントの発した声に現実に引き戻された。
「それと新兵共!」
ヴァルクムントが一層声を張り上げた途端、混在する部隊の一角がビクリと震えたのが確認できた。
「びびってちびんじゃあねぇぞ」
「はっ、はい!!」
ほぼ中央。
守られるように周囲を固められた一角が、吃りながらも大声でそれに応える。
その様子に、ヴァルクムントは満足そうにニヤリと男臭い笑みを浮かべると、森へと視線を向けた。
「んじゃあ、いっちょ行くかぁ」
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