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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
三節:微かな胎動
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 中途半端な数字を持つ層の……森林系フィールドの正にど真ん中。
 

 そこは誇張なく、何処までも続きそうだと感じるぐらい、深い深ーい森の中。
 もう既に攻略済みであり、攻略中の層よりも幾つか下に位置する層の、背の高い木々が乱立し絶えず濃霧の張る、とある森林エリアだ。


 足元自体は其処まで悪くなく、沼地があると言った自然系トラップも存在していない。
 だがその代わりか三メートル先すら見え辛く、『策敵』スキルの範囲も地図の表示される場所も(ことごと)く狭まってしまう。
 暮れ時や夜中ともなれば、その視界の悪さは筆舌に尽くしが痛い。

 またそれらシステム的な妨害の他にも、少し判断を間違えればモンスターによる急襲、道に迷い地形的な袋小路に陥る、ワープできる結晶アイテムを持たなければ帰り道に疲労が積み重なる………など、対策無しで踏み込めば酷い目に合う事は請け合いだ。


 ……が、スキルが無ければ例えウッカリしなくとも見落とす場所すら多々あり、しかもその情報は攻略が終わってからようやく判明して物である事も手伝って、基本的な道以外は放置されている。
 つまり中層プレイヤー達にとって其処(そこ)は、レアアイテムに希少装備、コル稼ぎ場所としてうってつけのフィールドであるのだ。


 そして―――今日も今日とてこの森林エリアへと、少しでも多くのコルを稼ぎ数少ない娯楽の一つ“食事”の内容を豪勢にする為、また己が生き残る確率を上げてくれる装備のランクを上げる為、中層プレイヤーで構成された一パーティーが踏み込んでいた。


「うっは〜、何時見たって霧濃い、つーかやっぱ濃いな!」
「そりゃそうだろ? それがこのフィールドのテーマになってんだぜ?」
「だけど、やっぱり私も言いたくなっちゃうかな、霧が濃すぎ! って」
「温度の所為もあるんでしょうか……? なんだか、余計に寒気立ちますね……」


 霧の所為と言う設定なのか、ここ等一体はヒンヤリとしており、陽の光も差さないので本来の温度よりも数段下に感じるのだろう。
 更に時折響く、ギェェェエェッ……! とも聞こえる不気味な鳥の……否、怪鳥のモノと思わしき鳴き声でその感覚は余計に増しており、その手の者に苦手意識を持たぬ者でも思わずビクついていしまい数なぐらいだ。


「《キキキィ……!!》」
「ひっ……!?」
「キュルル……?」


 最後尾に陣取っていた、ペールブルー色の竜らしき小型モンスターを肩へ乗せる幼げな顔の少女プレイヤーが、直後に聞こえる濁った叫びで肩を大きくすくめた。
 情けない、と肩を叩こうとした女性プレイヤーも、次いでよりおどろおどろしく響いた鳴声に充てられて首を縮めてしまい、やがてパーティー全員で顔を見合わせお互いに
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