暁 〜小説投稿サイト〜
BRAVE LOVE
1部分:第一章
[1/2]

[1] 最後 [2]次話

第一章

                      BRAVE LOVE
 聞こえた。確かに。
 僕には聞こえた。彼女のその声が。
 聞けばいてもたってもいられなかった。大学の講義からいきなり席を立った。
 その僕に教授が。驚いて声をかけた。
「何処に行くんだい?」
「彼女のところに」
「彼女のところ?」
「はい、彼女のところに行って来ます」
 こう教授に言って。そのまま講堂どころか大学も出て。
 その足で港に向かった。それから船を探した。
 正直そこに行く船があるかどうかなんてわからなかった。けれど確信していた。
 ある、この港にそこに行く船がある、このことを直感的に確信して。
 僕はその船を探した。すると本当にあった。しかももう少ししたら出航するところだった。彼女がいるその星に、今まさにだった。
 それを見て。僕はすぐにだった。
 チケットを買ってそれから。港に入って船に飛び乗った。その僕に船員の人が言ってきた。昔の、二十世紀の駅員さんみたいな服の人だった。
「何処まで行かれるんですか?」
「彼女のいる場所に」
 船員の人にもこう答えた僕だった。
「そこに行きます」
「彼女のところにといいますと」
「この船の終点です」
 そこだった。彼女がいる場所は。
 そこに行きたいと言って。チケットを出した。船員の人はそのチケットを見て。
 船員さんは納得してくれた顔になって。それでチケットを受け取ってくれてそれから僕に言ってくれた。
「わかりました」
「いいですね」
「チケットがありますから」
 だからいいと言ってくれた。
「では今から出航ですのね」
「有り難うございます」
「いえ、いいです」
 僕が急に飛び乗ったことはいいと言ってくれた。優しい人だと思った。
 そしてその優しい船員さんは僕にこうも言ってくれた。
「そこに何かがあるのですね」
「はい、あります」
 その確信に基いて。僕は答えた。
「だから行きます」
「そうですか。けれど遠いですよ」
「わかっています」
 それはもうわかっていた。けれどそれでもだった。
 僕はそこに行くと決めた。一度決めたからにはもう降りたくはなかった。
 それでだった。僕は出航を待つことにした。後はもうそこに向かうだけだった。
 だから船員さんに。こう告げた。
「船旅も楽しませてもらいます」
「わかりました。では一緒にそこまで」
 船員さんも言ってくれた。こうしてだった。
 僕はその星に向かって出発した。汽笛が鳴って。
 出航の放送がかかってから。船はゆっくりと動きだした。
 そのまま港を出て銀河に出る。銀河には無数の星が瞬いている。
 それを見て僕の胸は自然に高まった。これまで何度か宇宙に出て星の瞬きを見てきたけれど今度の
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ