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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
二節:睡眠の訳……?
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―攻略組に匹敵する実力を持つと知れば、その驚愕の度合いは知ったプレイヤーの大部分が、顎が外れんばかりな物となるのも避けられない。



 まあ、顔の傷やら左腕の包帯やら、筋肉質な肉体やら浅黒い肌やら高い身長やらの身体的特徴、ゲーム的に言うなら店売りしていない為プレイヤーメイドかモンスタードロップとしか思えない、本人曰く後の銘が全て “ゴックローク” と付くらしい短剣、長剣、大剣をもっているのだから、そこそこレベルの高いプレイヤーには見えるかもれない。

 実際、金属装備が彼以上に少ないが攻略組に名を連ねている『黒の剣士』と呼ばれるプレイヤーが居るらしいので、装備が足りない事とハイレベルで無い事はイコールで結べないから尚更だ。


 ……武器を装備していなければ左側に袖が無いインナーに、金属部の少ない軽量装備なので不安に思っても仕方無いであろうが。



 実にゆったりとした足取りで桜の舞い散る通りを歩きながら、ガトウは自分の寝床に辿り着いたか方向転換して道を変え、狭い路地裏から誰が利用するのかと突っ込みを入れたくなる扉へ手を掛け、製作者が戦闘と宿屋を勘違いしていたか番台に似た受付で用を済ませてから、部屋へと入り地面に座り込む。


 そしてパン一個口の中に放り込んで咀嚼し……何とそのまま寝込んでしまった。



 ゲームの中であるからして喉に詰まる事は無かろうし、仮に詰まっても空気抵抗の概念こそあれ呼吸する必要は無いのだから死にはしないだろうが、だからと言って食事途中に寝るなど余りに奇想天外な事態だ。


 彼は何故にそこまで睡眠を取りたがるのか、新たなる謎が生まれた瞬間である。



 そのまま、つまり口にパンを入れたまま十分ほど眠りこけた所でガトウは軽く目を覚まし、口の中のパンを咀嚼して座ったまま段々と猫背になり、それが自分にとっての普通だと言わんばかりに……寝た。


 こんな事を実に六回ほど繰り返して漸くパンを飲みこむと、ゆっくりと緩慢な動作で立ち上がってベッドに倒れ込―――まず大きな音を立てて奇妙な恰好で座り込むと、一応といった感じで体勢を胡坐に直して再び就寝する。


 現実の体で何か病的症状があって、止むを得ずこうなってしまうのならばまだ救いがあるかもしれないが、此処はゲームの中でしかもまだ昼真っただ中。
 変人奇人睡眠馬鹿という呼称に対し、相手をそうでは無いと納得させられる弁解などとてもできない。


 それにもしここが電脳世界で無かったら、脳に障害が出るわそれを回避しても体の節々が痛くなるわ、外で寝れば虫に刺されるわ汚れるわで散々である。



 もしもこうだったら……などといった不安事はつゆ知らぬとばかりに、ガトウは胡坐をかいたまま午後三時あたりまでずっと眠
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