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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十七話 将来図
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を下すであろう」
処分は有る。しかし追放は無いだろう。思わず安堵の溜息が出た。

「この件については以上だ。以後これについて無責任な言動は禁ずる」
「これまで、卿らと共に戦えた事に感謝する……。有難う」
元帥は敬礼をした、俺たちも慌てて敬礼を返す。

元帥は俺たちを一人一人確認するかのように会議室を見渡す。思わず鼻の奥にツンと痛みが走った。泣いている奴もいるだろう……。元帥は静かに礼を解くと会議室を出て行った、何時も通り威厳に満ちた姿だ、その姿にどれほど憧れたろう。そして俺たちも敬礼をしたまま元帥を見送る。

何時もと同じ行為、同じ光景だ。しかし、何故こんなにも切ないのだろう……。



■帝国暦486年12月6日 兵站統括部第三局 ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ

出征中の遠征軍が勝利を収めたようだ。自由惑星同盟軍にかなりの損害を与えたらしい。クレメンツ少将も武勲を挙げたのかしら。遠征軍が出征して以来、中将は仕事に専念している。でも少し様子が変。第三局全ての人間に、表に出せずに困っている案件があれば全て出すようにと命じた。

それ以来、中将の下には過去の不明瞭な物資購入の文書や、どう見ても横領されたのではないかと思えるような物資の紛失記録が持ち込まれている。中将は一つ一つ内容を確認しつつ、上に報告し処理している。処理と言っても事後追認のようなものだ。殆どが現時点では調べようが無くなっている案件ばかりなのだから。

“どうしたのです” と聞くと、柔らかく微笑みながら“何時までも此処にいられるわけでもないですから” と答えてくれた。どういう意味だろう。遠征軍が帰還すれば論功行賞と新人事が発表される。中将も異動になるのかもしれない。内示でもあったのだろうか。


■ 帝国暦486年12月6日 兵站統括部第三局 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン


遠征軍が勝利を収めたらしい。完勝とは言えなくとも敵には十分な損害を与えたようだ。いずれ帰還すれば詳しい話はわかるだろう。問題は元帥の心臓だ。果たして問題なく指揮を取れたのだろうか?

発作が起こったのだとすれば、メックリンガーが動いたはずだ。軍は勝ったのだから問題なく司令部を掌握できたはずだが、詳細が判らないからどうも落ち着かない。

もし、発作が起こったのだとすれば、あの書簡も元帥に届いたはずだ。これまでのことを考えればクビになるか、処分で済むかは微妙なところだろう。なんと言っても指揮権に介入したからな、問題は大きい。

今後のためにも処分は厳しくなる可能性がある。まあ銃殺とかは無いだろう。戦争にも勝っているし。クビになったらフェザーンへ逃亡だな。ルビンスキーが居るしフレーゲルも居る事を考えるとちょっと憂鬱だが、まあ何年かすれば門閥貴族も潰れるはずだ。帝
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