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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三話 初対面
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「はぁ・・・・。」
紀伊は目を瞬きさせた。司令部の玄関を出たところで利根が振り返った。
「どうじゃった?提督の印象は。」
「え?そうですね・・・・。」
改めて問われた紀伊は答えに詰まった。受け答えに必死で正直どういう人だったか、顔立ちすらうまく描くことができない。でも――。
「なんというかあまりつかみどころのない人でした。でも、色々と話してくださって、私のことをすごく気にかけてくださっていたような気がします。」
「そうじゃろう?提督はどの艦娘のことも自分の子供のように気にかけておる。特におぬしは一人でここに来たのじゃから、提督が気にするのも当然のことじゃな。」
そうだ。自分には姉妹艦はいない。今目の前にいる利根・筑摩のように自分にも姉妹艦がいればこんな不安で寂しい思いをすることはないのだろうか。
「それで、配属は決まったのか?」
「いいえ。しばらくは未定で・・・・あっ!すみませんでした。あらためて、そちらの寮にお世話になります、紀伊です。よろしくお願いします。」
利根は声を立てて笑った。
「今更あらたまってなんじゃ?そうかしこまらんでもよい。のう、筑摩。」
「はい。」
筑摩が微笑んだ。二人の笑顔はとても自然で柔らかかった。自分がすっと受け入れられたような気がして、紀伊は少し気が楽になった。
ではいくか、と利根が促し、3人は司令部を出ると、港湾に面した巨大な建物に向けて歩き出した。
「あそこがドックと発着指揮所になる。緊急時を除いての出撃はあそこから出ることになるのじゃ。」
「あれが・・・・。」
目の前にはゆうに数個艦隊が入れるような巨大な施設が広がっていた。すばやく動き回っている小さな点のようなものはそこに配属されている妖精なのだろう。その巨大施設の前では一隊の駆逐艦娘とそれを監督する軽巡洋艦娘たちが走り回っていた。3人は少しの間海風に吹かれながらその光景を眺めていた。3人に気が付いた艦娘たちが何人か手を振ってきたので、3人も振りかえした。
「平時はここが訓練施設にもなるからのう。色々と騒がしいが見てて飽きないぞ。」
大海原のとどろく音とともに、主砲打ち方、雷撃の命中の大音響、水柱、そして艦娘たちの交わす声、走り回る姿等がにぎやかに紀伊の耳に目に飛び込んできた。
「皆さん、とても活き活きしていますね。」
紀伊が頬を少し紅潮させた。
「おぬしも出たくなったか?ん?」
「えっ!?・・・いえ、私は全然、自信がなくて・・・。」
「そうか?聞いたぞ。おぬし、敵の増援艦隊をほぼ一瞬で壊滅させたのじゃろう?」
「あれはまぐれですし、私もほとんど覚えていないんです。無我夢中で・・・・。」
「そうなのか?」
利根はまだ質問したい様子だったが、それ以上言わず、では工廠の中に入るか、と二人を促した。
3人は訓練中の艦娘たちの
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