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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十五話 贖罪
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甘く考えていなかったか? 今回の私たちの行動が非合法なものであることは認識していた。しかし、勝つためなら仕方ない、そして中将なら罰せられるような事は無いと……。だが中将はそのことを危険視していた……。

あの時の表情が思い浮かぶ。やるせなさげな表情とつぶやくような声……。
〜ただ、あまり褒められた手ではありません。シュターデン中将は怒るでしょうね、ミューゼル提督も不満に思うかも知れない〜
あの時彼は何を考えていたのだろう?

彼は全てを無視することも出来たはずだ。元帥の病気を隠し、知らぬ振りで私たちを戦場に送る事も出来た。元帥が倒れると決まったわけではないのだ。だが、私たちを戦場に駆出した以上、その危険性を無視することが出来なかった……。

無視できる程ずるくなかった……。何十万、何百万という犠牲が出る事に耐えられなかった……。冷酷になれなかった……。

贖罪……。贖罪なのだろうか。元帥の出兵を止める事が出来なかったことに対する贖罪。私たちを死地に追いやってしまった事への贖罪……。そして自分が後方の安全な場所にいることへの贖罪。

「閣下……」
「メックリンガー少将、卿の言いたい事は判る、いや判るような気がする。だから何も言わないでくれるか……」
元帥はそう告げると深く溜息をついた。

「ご苦労だった、今回の事良くやってくれた。礼を言う、下がってくれ」
「……」
元帥は疲れたような声で私に退室を命じた。私は結局何も言えず、敬礼をすると部屋を出た。

これからミューゼル艦隊に行かなくてはならない。しかしこの状態で冷静に話せるだろうか。何処かでこの理不尽に叫びだしそうな自分がいる。

何故中将が責めを負うのだ? 責めを負うのは本当に中将なのか? 戦場に出た元帥はどうなのだ?
指揮権を欲しがるシュターデンは、ミューゼル提督はどうなのだ? 言う事を聞こうとしない参謀は、プライドが高く扱いづらい直属艦隊はどうなのだ?

彼はただ味方の敗北を防ごうとした、それだけではないか。それがそんなにもいけない事なのか?












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