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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第百四話 花見の終わりに
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 穏やかな陽気の中、膝の上で眠る姉妹。

 本当に平和なものだと、そのまま酒盛りを再開した士郎とエステート。

 時間にして三十分程のそれほど長くはない時間ではあったが、二人だけの穏やかな時間であった。

 ちなみにその間に水を飲み、リンディに説教され、酔いが醒めたレティが二人に謝罪に来る場面もあったりもしたが、平和な証拠と特に怒ることもなかった。

 そして、二人はこのまま酒盛りを続けても良かったのだが

「そろそろ二人を起こしましょうか」
「そうね。
 せっかくのお花見です。
 眠って終わらせるのはいささかもったいないですから」

 このまま宴の終わりまで眠らせるのはもったいないと起こす事にする。

 しかし、なのははともかく美由希はアルコールがまだ残っている。
 この後の時間でふらふらしたり、気分が悪くなっても悪い。
 そのため

「少し裏技ですが」

 眠る美由希の額に手を当て

「―――同調、開始」

 美由希の中のアルコールを分解する。
 もっともこれは魔術素質や魔導素質を持たない相手故の裏技である。

「? 何を?」

 エステートにとっては僅かな魔力が揺らぐ程度のモノ。
 こうして目の前でやっているから気がつくが、普通なら気づきもしないだろう。

「アルコール分解の手伝いですよ。
 美由希さんは未成年ですからお酒に慣れていませんから」
「なるほど、こんなことも出来るんですね」
「う……ん、あれ?」

 アルコールが抜けた美由希がゆっくりと目を覚ます。
 とはいえ酔っている時の記憶があまりないのか、目を丸くしキョロキョロしている。

「おはようございます。
 気分はいかがですか?」

 美由希を覗き込む士郎。

「えっと、おはよう、シロ君……?
 あれ? これって夢?」
「いえ、現実です」
「……じゃあ、私が抱きついたりしたのって」
「現実です」

 瞬間、美由希が跳ね起き、士郎から距離をとる。

 その際、士郎の顔に頭突きしそうになっているのだが、そこはしっかりと避けている士郎である。

「え、えと、ご、ごめんね。
 わ、私、レティ提督からお酒飲まされちゃったみたいで」

 恥ずかしそうに必死に顔を隠そうとしているが、耳まで真っ赤になっている顔を隠しきれるはずもない。

「えっと、だから、お、お世話になりました!」

 というわけで美由希が取った選択肢は撤退。
 逃げの一手である。

 自身の出せる全力で、だが頭のどこかは冷静なのか他の宴の面々の邪魔にならないようにエイミィ達のところまで逃げる。

「お帰り、美由希ちゃんって大丈夫?
 顔真っ赤だよ」
「うん。大丈夫。
 大丈夫だから何も聞かないで」
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