2部分:第二章
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第二章
「色々なものがわかりますから」
「そういうものですか」
「確かにイタリアは最高です」
パヴァロッティ神父もイタリア人である。これはイタリア人として当然の言葉であった。それぞれの郷土への帰属心が強くともである。
「ですがこの国もです」
「いいというのですね」
「はい、イタリアと同じ位最高です」
神父ではあるが女を口説く言葉に近くなっていた。この辺りの言葉の使い方はやはりイタリア人であった。ただし話す方も聞く方もこのことは自覚していない。
「ですから」
「いいというのですね」
「はい、いい国ですから」
「確かに悪い国ではありません」
ゴンザレス神父もそのことは感じ取っていた。
「この国は」
「それはもうおわかりですね」
「雰囲気もいいですし」
雰囲気はもう感じ取っているのだ。
「それに」
「それにですか」
「人の顔も明るいです」
「その通りですね」
「しかし。それでも」
こう言って首を傾げ続けるゴンザレス神父だった。次の日二人は揃って外に布教に出た。ここでゴンザレス神父がパヴァロッティ神父に対して言ってきた。
「あの」
「何か?」
「前から思っていたことですが」
怪訝な顔で彼に対して告げるのである。
「この国の信仰はどうなっているのでしょうか」
「信仰ですか」
「教会はそれなりに見ます」
流石にバチカンのお膝元であるイタリア程ではないにしろ、である。イタリア、それに欧州においてはキリスト教は絶対の存在である。それもかなりのものである。
「ですが」
「ですが?」
「他の宗教のものも多く見ます」
ここでは眉を顰めさせるのであった。
「まずはです」
「はい」
「あれですが」
ゴンザレス神父が顔を向けた先にあるのは寺であった。それであった。
そうして次はその寺の道路を挟んで向かい側に顔をやる。するとであった。
そこにあるのは神社である。その両方に顔をやっての言葉である。
「どう思われますか?」
「どうかとは」
「お寺は仏教のものですね」
「はい」
「そして神社は」
今度はゴンザレス神父自身が言った。
「日本独自の宗教、神道ですね」
「その通りです」
「一つの国に幾つ宗教があるのですか」
それを不思議に思っているのである。
「一体幾つなのでしょうか」
「幾つだとは」
「その仏教にしても無数の宗派がありますね」
「そうですね。それこそプロテスタントの宗派よりも多くあるかと」
カトリックはやはりローマ=カトリックが頂点である。そこにまとまっていると言ってもいい。しかしプロテスタントは各宗派に分かれている。正教もそうだがここが大きな差なのだ。
そして日本の仏教もだ。そうなのである。
「それもわかりません」
「わかりませ
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