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Blue Rose
第九話 戸惑う心その七
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「俺はそうしたことはしないんだよ」
「僕には特に」
「ああ、だからな」
「僕にもだね」
「そんなことはしない、だから何かあったらな」
 その時はというのだ。
「俺にも言え、いいな」
「そうしていいのかな」
「何度でも言うぞ、いいんだよ」
「わかったよ」
 優花は龍馬の言葉に頷いた、だが。
 その返事は力がなくだ、龍馬の目その強い澄んだ光を放つ目を見てもだ。
 一抹の不安があった、そしてその不安を払底出来なくてだ。
 その言葉を完全には信じられなかった、しかしその感情を今は隠してだった。
 こう答えた、それでこの時は終わらせようとした。そしてこの話はこの時はこれで幕を降ろした。だがここでだった。
 龍馬は優花にだ、こんなことも言った。
「あの魚見たぞ」
「あの魚って?」
「ああ、リュウグウノツカイな」
「あれっ、何処で見たの?」
「お袋と一緒にコンビニに遊びに行った帰りにな」
「その時になんだ」
「ああ、見たんだよ」
 その姿をというのだ。
「海にな」
「本当に見たの?」
「そう思うよな」
「うん、あのお魚はね」
 それこそとだ、優花も言う。
「海の深い場所にいて」
「滅多にだよな」
「海面には出ないから」
「そう言われてるな」
「けれどなんだ」
「その滅多にない時がな」
「龍馬の前に来たんだね」
 優花は信じられないといった顔で返した。
「そうなんだね」
「顔とあの紐だけ見えたよ」
「頭の」
「海面にな」
「そうだったんだ」
「まさか話をしてすぐにな」
 それこそという言葉だった。
「見られるなんてな」
「思わなかったんだね」
「ああ、けれどな」
「それでもだね」
「確かに見たからな、お袋もな」
「おばさんも見たんだね」
「そうだよ」
 龍馬の母、もっと言えば家族のことは優花もよく知っている。彼の家には幼い頃から足繁く出入りしているからだ。このことは龍馬t同じである。
「しっかりとな」
「そうなんだね」
「間違いなくな」
「ううん、漁師さんでも滅多に見ないお魚だけれど」
「それを見たって運がいいか?いや」
 ここでだ、龍馬は気付いた顔になって言った。
「あの魚はあれだったな」
「滅多に見られないお魚だけれどね」
「水族館にも書いてあったな」
 八条学園の中にあるその水族館にだ、剥製と共に説明が書かれているのだ。
「そう」
「うん、言われてることではね」
「海面に出たら海が荒れるってな」
「そう言われてるよ」
「お袋ともそうした話をしたよ」
「昨日今日は穏やかだけれど」
「荒れるか?海が」
 龍馬は今度は窓の外を見た、景色の果てに海が見える。
「これから」
「荒れる気配ないけれどね」
「今はな」
「けれど天気ってわか
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