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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆蘇生
第十七話 計画
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二十七層……」

マルバはさらにミラージュスフィアを操作した。立体映像のアインクラッドが四つに分かれ、その下から二番目の部分が拡大される。二十六層から五十層までの様子を表しているようだ。しかしその立体地図にはいくつか黒く塗りつぶされた場所があるようだ。マルバがマッピングしたかデータを買った部分しか表示できないらしい。
マルバの操作に従ってそれは更に二十五の薄い層に分かれると、下から二番目の層のみを残して他は消えてしまった。一枚だけ残った薄い層はぐんと大きく表示されると共に立体感を増し、斜め上から見下ろすような形になるとそこで一旦表示が止まる。
「立体的な鳥瞰図(ちょうかんず)、って感じでしょ。飛行型モンスターはこんなふうにこの世界を見てるのかもね。これが二十七層。で、ここが主街区の『フリーベン』。いい所だよ、綺麗な花がいたるところにあってね、僕の定宿はここにある。で、ここから南のこの道を通って……」
マルバの説明は続く。表示される立体地図は説明に従ってスクロールし、次々と新しい場所を映しだした。その映像はとても美しく精密で、目を凝らせば往来する人々が見えそうなくらいだ。

「……この橋を渡ると、もう丘が見えてくる。その丘のてっぺんに……ッ!?」
シリカの膝の上にいたユキがきゅうっと小さく、しかし鋭く鳴いた。その目はドアの外側を見つめ、歓迎されない来訪者がいることを示す。マルバは一瞬で扉に駆け寄ると、素早く開け放った。

「誰だッ!?」
階段の向こうに何者かが駆けていく。マルバはシリカにこの部屋で待っているように言うと逃げていった人物を追いかけていった。その足元でユキの白い姿が闇に溶けるように黒くなり、マルバを追って姿を消す。

シリカは部屋に取り残されてしまってふてくされたが、マルバとユキは三分くらいで戻ってきた。

「どうでした?盗み聞きなんて一体だれが……?そもそも扉越しの声は聞こえないはずなのに、どうして……」
「《聞き耳》スキルが高いと扉の向こうの声も聞こえるんだよ。……見たことがない男だったな。もうちょっとだったのに転移結晶で逃げられちゃった。僕たちの計画なんて聞いてどうするんだろう……?」

マルバはちょっと悩んでから、シリカに向き直った。
「ごめん、ちょっと気になるから情報屋に《プネウマの花》の詳細を聞いてみるね。ちょっと待ってて。」

マルバはメール作成画面を開き、何かを打ち始めた。宛先は『アルゴ』、腕利きの情報屋だ。シリカはベッドで丸くなるとその後姿を見つめた。その姿は遠い現実世界の記憶にあるフリールポライターの父の姿に似ていて、シリカはそれを見ているだけでとても落ち着いた。彼女はその安らぎに包まれ、ゆっくりと目を閉じた。





シリカは耳元で流れる起床アラームの音楽で耳を覚ました
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