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女といえど
第二章

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「否定はしない」
「正直ね」
 栗橋は自分の黒のロングヘアを触りつつ言った。細面で小さな唇に先の尖った顎と外見は大和撫子である。ブレザーの制服から奇麗な足が出ているが胸はあまりなく背は一六〇程だ。
「剣道最強っていうのね」
「ああ、そうだ」
「薙刀よりも」
「剣道より強くうはないな」
「言ってくれるわね」
「そもそも薙刀はあれだろ」
「女の子がするものっていうのね」
 栗橋も自覚して言う。
「そうだっていうのね」
「大抵そうだろ」
「まあ男の子でするっていたら」
「実際少ないな」
「あまりいないわね」
「男と女じゃ体格があるだろ」
「そうよ」
 このこともだ、栗橋は認めた。
「私とあんたもそうだしね」
「そのことも考えたらな」
「薙刀よりも強いっていうのね」
「剣道がな」
「剣道のやってる男の子と薙刀やってる女の子だとどうなの?」
 栗橋は田所にさらに問うた。
「勝負したら」
「それはやっぱりな」
 栗橋の今の言葉にだ、田所はすぐに返した。
「剣道の男だろ」
「言ったわね、それじゃあね」
「まさかと思うがな」
「そのまさかよ」
 栗橋はその笑みをにやりとさせて田所に返した。
「今日にでもする?道場で」
「剣道と薙刀の勝負か」
「私とあんたでね」
「御前薙刀段持ってるか?」
「初段よ」
「俺剣道二段だぞ」
「しかも中学からやってて」
 栗橋は田所のその剣の腕前について言った。
「大会にも出てるわね」
「こう言ったら何だが自信あるからな」
 剣道のそれにというのだ。
「薙刀初段で勝てるか」
「どうかしらね」
「しかも男と女の違いで体格差もあるのにな」
「やってみないとわからないわよ」
「わかった、じゃあな」
「ええ、今日の放課後ね」
「道場でな」
 学校のだ、こう約束したのだった。
 そして放課後だ、実際にだった。
 田所は部活に行くとまずは剣道着に着替えて準備体操をして防具を着けてだった。目の前にいるやはり薙刀着を着て準備体操をして防具を着けた栗橋を見た。
 そのうえでだ、周りにいる部活仲間に言った。
「二段と初段だしな」
「ああ、御前強いからな」
「体格差もあるしな」
「体力だって違うからな」
「勝つな」
 自分で言った。
「俺がな」
「いや、気をつけろ」
 顧問の初老のジャージ姿の男性、半田雄吉先生が言って来た。
「強いぞ」
「初段だからですか」
「違う、薙刀自体がだ」
「やっぱり間合いが遠いからですか」
「そうだ」
 実際にというのだ。
「それが大きいしだ、それにだ」
「それに?」
「足に気をつけろ」
 先生は田所に目を向けて告げた。
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