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三人一組
第二章

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「一体」
「この子です」
 青年が出した写真にその猫がいた、小さな黒いサビ猫である。目が黄色くはっきりとしていて耳が大きい。
「ミミっていいます」
「耳が大きいからですね」
「それで名付けました」
 実際にとだ、青年は由紀に答えた。
「兎みたいな耳ですから」
「それでなんですね」
「そうです」
「わかりました」
「性格はやんちゃです」
 青年は由紀にこうも話した。
「それもかなり」
「やんちゃですか」
「すぐに引っ掻くし乱暴です」
「そうした性格ですか」
「部屋の中で買って外には出さない様にしています」
 つまり家猫だというのだ。
「ですが元々は野良で部屋の近所の公園で近寄って来て」
「拾ったんですね」
「そうです」
「そうですか」
「はい、ですから公園も探していますが」
「見付からないんですね」
「そうです」
 実際にというのだ。
「ですからここにお願いに来ました」
「わかりました、お返事はお知らせさせてもらった通りです」
 強い声でだ、拓篤が青年に言った。
「必ずです」
「うちの子を見付けてくれますか」
「そうさせてもらいます」
 こう約束するのだった。
「それでこの娘は性別は」
「女の子です」
「不妊手術は」
「しています」
 青年は拓篤にも答えた。
「既に」
「そうですか」
「はい、それももう」
「わかりました、ではです」
「それではですね」
「早速仕事をさせてもらいます」
 こう青年に答えてだった、拓篤は報酬のこと等も青年と取り決めてだった。早速仕事をはじめたのだった。 
 三人で事務所を出た、青年が帰ってからすぐに。この時由紀が拓篤に言った・
「少しいい?」
「何だ」
「うん、今回の依頼もよ」
「そうだ、三人でやる」
「それでいくのね」
「いつも通りだ」
 拓篤は眼鏡に手をやりつつ由紀に答えた。
「そして必ず見付ける」
「それこそね」
「僕達三人で仕事をしてだ」
 そしてとも言う拓篤だった。
「見付からなかったことがあるか」
「ないんだよな、これが」
 にやりと笑ってだ、雄輔が拓篤に応えた。今も拓篤を中心に置いて雄輔が右そして由紀が左に位置している。
「一度もな」
「そうだ、一人一人では限界があってもだ」
「三人いればな」
「どうにもなる」
「そういうことよね」
「猫ならだ」
 その生きものを探すのならとだ、拓篤は冷静なまま言う。
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