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血の髑髏
第三章

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 メキシコシチーの博物館まで運ばれた、そしてまずは博物館のホセ=マルコ館長の前に出された。探検隊が到着前に連絡を受けていた館長は。
 その装飾品達を見てだ、まずは博士に尋ねた。
「これで全てだね」
「はい、ピラミッドの中にあったものです」
「そうだね、どれもね」
「考古学上の発見ですね」
「まさにだよ、特にね」
 館長はその太った身体の上にある首を動かしてだ、髑髏を見た。
 そしてだ、こう博士に言った。
「これはまさにね」
「水晶の髑髏ですね」
「それだけよ、とりわけね」
「大きな発見ですね」
「素晴らしいものを見付けたね、ただね」
 館長もだった、その髑髏を見てだ。
 えも言われぬ不気味なものを感じてだ、博士に言った。
「この髑髏はね」
「不吉ですね」
「邪なものを感じないかい?」
「館長もですね」
「うん、博士も感じたんだね」
「あの髑髏の色のせいでしょうか」
「血の色だね」
 まさにそれだとだ、館長は言った。
「これは」
「赤水晶ですが」
「こんな赤水晶があったこと自体が驚きだけれど」
「あまりにも精巧ですね」
「あの水晶の髑髏の様にね」
「誰がどうして造ったのか」
 博士は髑髏を警戒する顔で見ながら言った。
「それも謎ですが」
「何の目的でだね」
「そう考えるとです」
「どうにも得体が知れないね」
「そうしたものを感じずにはいられませんね」
「私もだよ、ここで気のせいだと言い捨てることはね」
 そうした行為についてもだ、館長は言った。
「楽だけれど」
「それをしたら」
「何かいけない気がするね」
「本能的に、どうもです」
 今もだ、博士は髑髏の目の部分を見つつ言った。
「あの目がですね」
「気になるんだね」
「あの視界の中に入れば」
「うん、悪いことになると」
「館長もそう思われますか」
「あの髑髏自体に感じるよ」
「髑髏があったピラミッドには生贄を捧げる祭壇がありました」
 マヤ文明というか中南米の文明にはよくあったことだ、生贄の心臓を彼等の神に捧げたりしていたのである。
「ですから」
「生贄について何かあった」
「そうかも知れないので」
「怨念が篭っていてもね」
「普通にあると思いますね」
「うん、私もね」
 館長は無神論者でもオカルト否定派でもない、これは博士もだ。その為二人共思ったのだ。
「そう思うよ」
「では」
「この髑髏は博物館で保管すべきか」
「本来ならそうですね」
「他の装飾品と同じくね」
「そして展示すべきですが」
「展示すれば大きな発見だからね」
 それ故にだ。
「観に来る人が多いだろうね」
「しかしですね」
「それは止めておこうか」
「それがいいですね」
 博士も館長のその言葉に頷いた。
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