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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十四話 ベーネミュンデ事件(その4)
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難うございました。おかげで命拾いしました」
「卿に死なれては困る。噂が噂だったからの、念のため卿の後を追わせたのじゃ」

侯は本当にほっとしているようだ。表情にも安堵感が漂っている。
「どうやら暴発してしまったようですね」
「そうじゃの、全て無駄になったか」
「はい」
二人の声に疲労感があると思ったのは私だけではないだろう。

「それにしても厄介な噂じゃ」
ぽつりとリヒテンラーデ侯がつぶやいた。
「……」
「こうなって見ると、狙いは卿だったのかもしれん」
侯は手を後ろで組んで考え込みながら話した。中将が狙い? まさか。でも中将は驚いた表情を見せていない。中将も同じ事を考えてる?
「……」
「あの二人を暴発させ、卿を殺させる……。どうやら卿もそう考えているようじゃの」

「ええ、有りそうな事です。しかし一体誰が」
中将の表情も苦い。敵が見えないということが苛立たせているのかもしれない。侯の推理は十分にありえる。だけど誰が中将を……。

「心当たりが多そうじゃの」
からかうような侯の声だったが中将の答えは意表を突くものだった。
「……フェザーンというのもあるでしょうか」
「……有るかもしれん、だとすると厄介じゃの」
中将と侯は黙って見詰め合った。フェザーンが絡んでいる、そんな事があるのだろうか。

「とりあえず今日は、私のところに泊まるが良い。そのほうが安全じゃ」
「そうですね。お世話になります」
「こうなったのじゃ、明日は一気に片付けるぞ」
「はい」

誰が仕組んだにせよ、とりあえずこの事件は終わるだろう。問題はこれからだ。中将には間違いなく敵がいる。今日は運が良かった。だけど次も運がいいとは限らない。何らかの手段をとらないと……。リューネブルク中将に相談して見よう。あるいはキスリング大佐か。中将を敵から守ってくれる存在が必要だ……。






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