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デビルシスター
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第一章

                   デビルシスター
「ええ、嘘だって」
「ねえ」
 クラスで女の子達が能天気な笑顔を浮かべて何かを否定していた。
「優さんそんなことしないって」
「ねえ」
「だから本当なのよ」
 席に座って自分の側の席に座ってそれぞれ顔を見合わせ合って話をするその二人の女の子に対して髪を首の付け根で切り揃え黒い大きな、いささかギョロ目といってもいいまでの目を持つ女の子が必死の顔で話していた。
「それ。うちのお姉ちゃんってね」
「だからそれ未来の気のせい」
「そうそう」
 女の子達はあくまで彼女の言葉を信じようとしない。また笑顔で言い合うのだった。
「あの人に限ってねえ」
「絶対に有り得ないわよ。あんな立派な人が」
「私が嘘ついてるっていうの?」
 管国未来は二人があまりにも自分の言葉を信じないのでいい加減嫌になってきていた。
「私が」
「まあ未来嘘はつかないけれどね」
「っていうか嘘つけないじゃない」
 二人はこのことはわかっているようであった。
「っていうかあれ?嘘ついても顔にすぐ出るって」
「もう目でね」
「目でなの」
 ここで自分のその大きな目を意識せざるを得なかった。
「目でわかるの」
「そうそう、もう目でもの言ってるから」
「言葉よりそっちでわかるのよね」
「ねえ」
 二人はまた顔を見合わせて話す。
「もうそこはね」
「すぐにわかるわ。元々正直だけれどね」
「じゃあ私が嘘ついてないってわかるわよね」
「いいえ、全然」
「全く」
 しかし二人の返答は今さっきのものと全く矛盾するものであった。
「だからその話信じられないし」
「優さんがねえ」
「さっきと言ってること全然逆じゃない」
 未来もまたそこに突っ込みを入れた。
「私が嘘つかないって言ったのに」
「嘘はついてないでしょ」
「それはね」
 二人はここでもそれは保障するのだった。きっぱりとした声で。
「あんたに限ってね」
「それはないわ」
「じゃあ何よ、今の否定の言葉は」
「間違えてるのよ」
「それか勘違い」
 だというのである」
「優さんが悪魔ってねえ」
「極悪非道って」
「けれど本当なのよ」
 未来はその言葉を余計に強くさせてきた。
「うちのお姉ちゃん。悪だくみばかりしてるんだから」
「それでいつも困っているお年寄り助けたり?」
「あんたにも参考書プレゼントして成績あげてもらってるじゃない」
「あのね。お年寄りにはね」
 未来はその目を思いきり怒らせていた。眉がそれに続いた形になっている。
「親切にするのはね」
「何があるの?」
「御礼ついでに下心があるのよ」
 それだというのである。
「もうね。お年寄りって御礼するじゃない。いい人だと」

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