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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃T篇)
第71話
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その後、フィオナが用意してくれた心尽くしの夕食に舌鼓を打ったリィン達は食後にエリオットの部屋を訪れていた。



〜夜・アルト通り・クレイグ家・エリオットの部屋〜



エリオットの部屋を訪ねたリィン達は部屋中にある様々な楽器を見て驚いていた。

「これは……凄いな。」

「……お店が開けそう。」

一つの部屋にある楽器の多さにリィンとフィーは驚き

「ピアノにバイオリン、管楽器から打楽器まで……キャビネットにあるのはどうやら楽譜らしいな?」

「エリオットさんは音楽が凄く好きなんですね……」

「”好き”だけで、こんなにも多くの種類の楽器を集める人はいないと思うけど……」

ラウラは感心し、優しげな微笑みを浮かべているセレーネの言葉を聞いたツーヤは苦笑し

「さ、さすがにこれは趣味の範囲を越えてるだろう。」

マキアスは信じられない表情でエリオットを見つめた。



「あはは……ちょっと引いたよね?亡くなった母さんが結構有名なピアニストでさ。姉さんと僕はその影響を受けてるってわけ。」

「そうだったのか……」

「こんな環境で育ったのなら吹奏楽部を選ぶのも無理ないな。」

「ええ……まさに音楽一家と言ってもおかしくないですものね。」

「でも……どうして夕方会った人達と同じ学校に行かなかったの?」

エリオットの説明を聞いたリィンやマキアス、ツーヤが納得している中フィーは不思議そうな表情で尋ねた。



「フィー……」

「それは……」

「え、えっと……」

フィーの疑問を聞いたラウラとリィンは複雑そうな表情をし、周囲の空気を読んだセレーネは不安そうな表情でエリオットを見つめた。



「あはは、いいんだ。……何となくみんなには気付かれちゃったと思うけど。僕、士官学院を受ける前までは音楽院を志望していたんだよね。」

「…………あ…………」

「………………」

そしてエリオットは士官学院に入るまでの経緯を話し始めた。



「小さい頃から、姉さんと一緒に母さんのピアノを聴きながら育ってきた。父さんは豪快な人で、音楽には疎かったけど母さんにはベタ惚れだったみたいで…………いつもいつも、この家には暖かい音色と笑顔が満ち溢れていたんだ。



でも、その母さんが7年前に病気で亡くなって…………姉さんと僕は、当然のように母さんと同じ道を歩いて行った。そして姉さんは、音楽院に入ってピアニストとしての道を歩きはじめて……僕も当然のように、それに続こうとした。―――でも、父さんはそれを許してくれなかった。



『趣味程度ならともかく、帝国男子が音楽で生計を立てるなど認められん。』―――
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