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ラスク=マイド
第五章
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「わからなかったよ」
「そうなのね」
「ラスク=マイドっていうんだな、その服」
「エプロンはね」
 アニタもこう返す。
「そう言われてるわよ」
「それも教えてもらったよ」
「そうなのね」
「そう、それでな」
「それで?」
「これから何処に行くんだ?」
「何処って。一人でここに来たのよ」
 アニタもグスターヴォに答える。そしてだった。
 少し苦笑いになってだ、グスターヴォにこうも言ったのだった。
「友達皆彼氏いてね」
「皆彼氏と行ったんだな」
「そうなのよ」
「じゃあ今は一人か」
「一人で適当に遊ぼうって思ってるの」
「女の子が一人で歩くとな」  
 そう言われてだ、グスターヴォはすぐに勝負に出た。
 出来る限りさりげなさを装ってだ、こうアニタに言った。
「よくないからな」
「あら、お誘い?」
「そう思っていいさ」
 ここではあえて居直った。
「だからな」
「二人で、っていうのね」
「夏至祭回らないか」
「ええ、いいわよ」
 アニタも微笑んで受ける。
「それじゃあね」
「ああ、出店回ってな」
「ビールも飲んでね」
「一緒に楽しむか」
「そうしましょう、じゃあ」
 アニタは微笑んでグスターヴォに自分の右手をそっと差し出した。グスターヴォもそれを受けてだった。
 そしてだ、二人でだった。
 夏至祭を楽しんだ、それからだった。
 グスターヴォは次の日だ、こう友人達に言った。
「いい娘だな」
「そう言うんだな」
「実際に」
「そうなんだな」
「ああ、また今度デートすることにした」
 それもというのだ。
「またな」
「よかったな」
「夏至祭からはじまる恋ってやつか」
「いい話だな」
「それもまた」
「ああ、後な」
 ここでまた言った彼だった。
「皆あの後どうしたんだ」
「御前と別れてか」
「お前を送り出してからか」
「ああ、どうしていたんだ」
 こう友人達に尋ねた。
「それで」
「それはもう決まってるだろ」
「俺達も彼女いるんだよ」
「それじゃあな」
「ちょっと行って来たんだよ」
「そうしてたんだよ」
「そうか、俺と同じか」
 彼等の話を聞いてだ、確かな声で言った。
「彼女とか」
「夏至祭だぞ」
「ストックホルムでもそうだろ」
「それじゃあな」
「普通にそうだろ」
「スウェーデンだからな」
「夏至祭はデートの日だ」
 ビールを飲んで出店の料理を楽しみ音楽も踊りも楽しんでだった。
 そしてだ、こう言ったのだった。
「だからだよ」
「そこはわかるな」
「スウェーデンだからな、ここも」
「それなら普通だよ」
「そうだな、よくわかった」
 グスターヴォも頷く。
「じゃあ今度こうした祭りがあったらな」
「その時もあの娘
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