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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
閑話T 巧の中学生活
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閑話T 巧の中学生活

1987年 遠田巧 中学二年生

家と柳田邸で訓練に励み、中学に通う。ある意味二重生活を送っていた巧であったが、厳しいことはあるものの、概ね順風満帆と言える学生生活を送っていた。大陸での戦いが激化し、学校での教育も軍事関連のものが多くなってきた。もともとSES計画でその手の教育や訓練を受けてきた巧にとっては簡単なもので、授業は聞いていたものの新たに勉強する必要は全くない。体育でやる耐久マラソンや柔道、剣道などの格闘技もむしろ教師より遙かに出来る。当然のように巧は頭角を現し、クラスの中心的な人間になっていた。

そんな巧だが最近は悩みを抱えるようになっていた。

それは

(彼女が…ほしい……。)

という割と俗っぽい悩みだったが、巧にとってそれは切実な悩みだった。これまで自分の歩んできた道、そして今後自分が進むであろう将来の夢について疑問も不満もなかったが、思春期に入り色々と思うことがあったのだ。わき目も振らず衛士を目指し、任官したら戦場で戦い、退役したら会社に尽くす。それは非常に立派なことだとは思うが、自分とて男。恋人が欲しい。志願後は訓練や戦闘で忙しいだろうし、退役したらもういい歳である。この頃の軍は男ばかりで、女性は志願制ということもあり、軍の中に出会いは少なかった。それに一度は所謂甘酸っぱい恋愛というやつを体験してみたい。それが巧の偽らざる本心だった。

巧は客観的に見て優良物件である。遠田技研という一流企業の創業一族、それも一人息子でボンボン。顔は少し厳ついが、それは男性的ともいえ、目鼻がすっきりしていて顔も悪くない。さらに身長は中学生にしては高く178cm。訓練を積んでいるため体は引き締まり、日に焼けた容姿は逞しい。英才教育を受けているために成績は優秀で、誰隔てなく接するのでクラスでも人気者だ。だから自身がどう感じているかはともかく、巧はもてていた。実際に結構な頻度で告白を受けたりしていたし、それは上級生や下級生のときもあった。

しかし問題があった。それは周りよりも巧の問題であったが。

「遠田よぉ…お前何人振ったら気が済むんだよ!東條先輩っていたったら三年のマドンナだぞ!あんな美人に告られて振るとか!あり得ないから!」
「うーんでもあの人のことあまり知らないしなぁ。確かに綺麗な人だったけど。」
「うるせぇ!お前が振るたびに泣くのは女だけじゃない、俺たち男子もなんだよ!いい加減誰かとくっつけ。」
「と、言ってもなぁ…。」

巧の精神年齢は高い。子供のころから英才教育を受け、自分を律し、遠田技研の工場に勤める社員と先端技術を学ぶために交流してきた遠田にとって同年代の学生は幼い子供のようなものである。それに学校で仲が良くなっても巧は放課後は訓練のために早く帰宅してしまうため、同年
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