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ロード・オブ・白御前
後日談
CASE Everyone After Days
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スに射して、頬杖を突いた。

「ねえ、初瀬ちゃん。サムシング・ブルーって知ってる?」

 向かいでフルーツサンドイッチを食べていた城乃内から、唐突に出た単語と問い。何だよそれ、とぶっきらぼうに返す。

「結婚式で、青い物を身に着けた花嫁は幸せになれるって、欧米じゃ言われててね。日本じゃブーケとかリングに青い花とか宝石を付けたりするんだって。その青の意味は『誠実』と――『純潔』」

 フラッシュバックしたモノクロの記憶に、徐々に色彩が付いていく。
 巴を永遠に失った日。あの時の巴は、白無垢には本来ないはずの青い花を頭に飾っていた。

 ――純潔。誰のものにもならないという誓いの証。

 あなたの隣でこの服を着たかった――巴が最後に残した言葉が、はっきりと、思い出せた。


「……泣かないでよ?」
「泣かねえ」


 ずっと会えないわけではない。そう信じるにはあまりに困難なのが現実。
 いつか会える日が来る。そう希望を抱くには、あまりに残酷なのが現状。

 ――それでも。他ならぬ初瀬がその希望を信じなければ、巴が我が身を投げ出したことが本当に無意味になってしまう。

 初瀬は奥歯を噛み締めて、決壊しそうな涙腺を全力で押し留めた。





 ―CASE?? Mai&Tomoe―


 少女たちは夢を見る。

 甘い夢。優しい夢。温かい夢。楽しい夢。

 苦い夢。悲しい夢。切ない夢。儚い夢。

 夢を見ながら眠り続け、待っている。少女たちそれぞれの約束の人がいつか素敵な目覚めを運んでくる瞬間を。
 そのためならば少女たちは何千年、何万年でもユメを見続けられる。


 少女たちは夢を見る。
 少女のユメが尽きる日はない――





【 ロード・オブ・白御前  ―完― 】
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