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剣士さんとドラクエ[
41話 昔話
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「恥ずかしい話でがすが、実は昔、あっしはここでビーナスの涙を手に入れようとして失敗したことがあるでがす……」
「そうなんだ?」
「軽い気持ちで入って、尻尾を巻いて逃げ帰ったんでがすよ……」

 しみじみとヤンガスは入り口から見える悪趣味な配置の、豪奢な装飾の大きな宝箱……あれにビーナスの涙が入っているんだろう……を眺める。そう、ヤンガス、一度は挑んだんだ……。

「……不謹慎だけど、流石にここに来たら胸が踊るね」
「トウカの兄貴なら問題なく突破できるでがすよ」
「ありがとう。でもここ、仕掛けだらけって聞いたよ?だから単なる戦闘能力だけじゃ何ともならないって」

 ……不吉な情報を初っ端からありがとう、トウカ。知らないよりは良いに違いないけど……なんだか嫌な予感がするんだよなあ……。ここ、雰囲気だけで判断するなら結構魔物も強そうだし……。実際、ヤンガスが撤退したなら相当強いんだろうなあ……。トウカじゃあるまいし、こんなことがなかったら絶対に来たくなかった。

 だって、考えてみれば、あの宝箱が開けられていないっていうことは、今まであそこに行ってビーナスの涙を手に入れた人は居ないって事でしょ……?それなりに名前が知られている場所みたいだし、ヤンガスみたいに何人もここに挑んだはずだし、場合によっては当時のヤンガスはよりも強い人も居たかもしれないのに。

「……羽目は外すなよ」
「分かってる。急所狙いでガンガン行くから」
「それを羽目をはずしているっていうんだ……頼むから自分の身を守ってくれ」
「……おう。回復魔法、何時も悪いね……」

 やや疲れたようなククールに言われて、トウカは頷いた。頷いたね?絶対に守ってよね?僕からもお願いだよ……。最近のククールはフィールドで戦っていると最早語尾がベホイミかベホマだから……。魔法の聖水片手にレイピアを振りつつ……ちょっと、いや、かなり尊敬する。

 ククールが仲間になってくれなくて、回復役が僕だったら……悪いけど、ぞっとするんだけど。

・・・・

「わぁおっ!トラップ!」
「楽しそうに落ちるな!」
「受け身を取るまでもなく着地ィ!」
「地面にクレーターを作らないで!」

 真面目……トウカとして、だけど……に戦っていて、いつもの様に大仰な動作や声を上げて笑ったりもしないけれど、普段の旅で見ないようなものを見つける度、とても嬉しそうにしているトウカ。

 うっかり誰かがトラップの扉を開けてしまい、思いっきり五人もろとも下の階に続く穴に落とされてしまったの。避けきれずに落ちたのは皆同じだけど、剣を空中で素早く仕舞い、ダンッと激しい破壊音を立てて両足で着地し、ついでと言わんばかりにあたしまで助けてくれた。

 ふわりと背中に回された腕は素早くも
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