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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十九話 来訪者(その3)
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男爵が怒りにあえぐ。

「それ以上、動くなとは言わぬ。動いてみろ。そうすれば、私としても卿らの肥大した心臓を撃ちぬく口実ができると言うものだ」
「小僧、小僧……」
フレーゲル男爵は繰り返す。全身を震わせ両目は狂気に火花を散らしている。
いけない、もうすぐフレーゲル男爵は暴発するだろう。そのときラインハルト様はご自身を抑える事が出来ないだろう。私が撃つ、そのときは私がフレーゲル男爵を撃つ。

「そこまでだ、皆銃を下ろせ」
太く、低い声が響く。
「ブラウンシュバイク公!」
「伯父上!」

ブラウンシュバイク公だった。何人かの軍人を背後に引き連れている。おそらくブラウンシュバイク公に仕えるものだろう。そしてヴァレンシュタイン中将もいる。
私もラインハルト様もロイエンタール少将もどうしていいか判らずに困惑していると再度ブラウンシュバイク公が声を発した。
「もう一度言う。皆銃を下ろせ」
私たちは顔を見合わせ、銃を下ろした。

「フレーゲル、この愚か者!」
ブラウンシュバイク公の怒声が響いた。
「伯父上?」
「お前は一体何をしていた?」

どういうことだろう。これはブラウンシュバイク公の知らない事なのか。私だけではない。ラインハルト様も訝しげだ。
「それは、この卑しい平民に制裁を」
「卑しい平民とは、ミッターマイヤー少将のことか?」
「そうです。我らの一門のコルプト大尉を殺した……」

「フレーゲル、わしが何時そのような事を命じた?」
ブラウンシュバイク公の声は苦い。
「伯父上?」
「わしが何時そのような事を命じたと訊いておる」

「しかし、此処に監禁したのは伯父上の命令で」
「監禁は命じた。しかし殺せなどとは命じておらん」
「……」
ブラウンシュバイク公は殺せとは命じていない? ではなぜミッターマイヤー少将を監禁したのだろう。

「わしがミッターマイヤー少将を監禁したのは、口の利き方を教えるためだ。正論を吐くのはよい。しかし正論が常に受け入れられるものではない。受け入れさせるにはそれだけの配慮がいる」
口の利き方? 私はラインハルト様を見た。虚をつかれたようだ。ミッターマイヤー少将、ロイエンタール少将も呆然としている。
「お、伯父上?」

「ミッターマイヤー少将」
「はっ」
ブラウンシュバイク公は今度はミッターマイヤー少将に話しかけてきた。

「フレーゲルが卿に無礼を働いたようだ、済まぬ。だが、正論を吐くのと正論を受け入れさせるのは別の問題だ。よく覚えておくがよい」
「はっ」
ブラウンシュバイク公は、チラとラインハルト様を見た。ラインハルト様にも同じ事を言いたいのかもしれない。

「フレーゲル、お前は死なねばならぬ」
「お、伯父上?」
フレーゲル男爵を殺す? 思わずブ
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