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ヤオイとノーマル
3部分:第三章
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の世界なのだ。
「許されない愛だけれどね」
「同性愛自体がそうなんじゃ」
「それ自体はいいのよ」
「そうなんだ」
 これもまた信繁にはわからない世界であった。まるであなたの知らない世界である。
「日本じゃ昔から普通だったし」
「そういえばそうか」
「歴史もののそういった同人誌もあるわよ」
「本当!?」
 信繁はそれを聞いて驚かざるを得なかった。
「ほら、織田信長と森蘭丸」
「ああ、あの二人」
 織田信長が男色家でもあったのは歴史上有名な話である。他には武田信玄もそうであったし上杉謙信、大内義隆もそうである。平安時代にはそれを日記に書き留めている貴族もいる。当時の日記は後世に読まれることを前提として書かれているからこのことからも同性愛というものが日本では普通のものであったことがわかる。これもまた日本の文化なのである。よいか悪いかはまた別の話だ。
「そういうのもあるわよ」
「色々あるんだね」
「あれ、そういうのを探しているんじゃないの?」
「えっ!?」
 今の言葉に信繁の顔が固まった。
「だからあの本屋さんに行くんでしょ」
「えっと」
 何か話がまずい方向に行っている。それを悟った信繁は一旦大人しくすることにした。そうして良美の話を聞くことにしたのである。

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