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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十七話 来訪者(その1)
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なくてはいけない。ウォルフガング・ミッターマイヤーを救うためには一刻も早くあの男に会わなくては。ミッターマイヤーとの最後の会話を思い出す。
「ミッターマイヤー、俺に任せてくれないか。一人頼りたい男がいる」
「一体誰だ」

「エーリッヒ・ヴァレンシュタイン」
「! 一面識も無い男だぞ」
面識は有る。士官学校時代だが何度か眼を合わせた。合うたびに向こうは興味深げな、時に懐かしそうな眼をした。最初は俺の目を見てのことかと思ったが、あれはなんだったのか。

「これから知己になればいい」
「……」
「彼が俺たちのために大貴族の無法と戦ってくれるのなら俺たちも彼に忠誠を誓おう」
「……判った、卿に任せる」


ミッターマイヤーがコルプト大尉というブラウンシュバイク公の縁者を射殺した。略奪行為に対しての処断であり正当な行為であったがブラウンシュバイク公は自分の面子を潰されたと感じ彼を投獄した。軍法会議が開かれる事は無いだろう。

軍法会議ではミッターマイヤーの行為は正当なものと評価され、ブラウンシュバイク公は恥の上塗りとなる。まして皇帝からは“軍規を正せ”との言葉もあったのだ。恥の上塗りどころではあるまい。それを回避しミッターマイヤーに報復するとなればミッターマイヤーを事故死に見せて殺害するしかない。間違いなく彼らはそれを行なうだろう。

ミッターマイヤーを救うには、ブラウンシュバイク公と同等、あるいはそれ以上の権力者に頼るしかない。そして彼らと敵対している人物。思いつく人物は一人だけだ。戦場においても政争においても勝ち続ける男。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯ですら一目も二目も置く人物、エーリッヒ・ヴァレンシュタイン中将。冷徹、非情、苛烈とまで言われる男だが理の通らない事を酷く嫌うとも言われている。彼に頼るしかない。


「帝国軍少将オスカー・フォン・ロイエンタールです。夜分申し訳ないがヴァレンシュタイン中将にお目にかかりたい」
ドアTVに向かって来訪を告げるとあっさりとドアが開けられた。
「どうぞ、ロイエンタール少将」

ヴァレンシュタイン中将に中に入れられ椅子を勧められる。話をしようとすると“すこし待ってくれ”と言って奥の部屋に消えた。焦る気持ちを抑え中将を待つ。五分は待っていまい。部屋から出てきた中将は軍服に着替えていた。さっきまではグレーのスラックスに薄いクリーム色のシャツを着ていたはずだ……。

「ミッターマイヤー少将のことですね」
驚いたことに向こうから切り出してきた。
「そうです。よくご存知ですね」
「遠征軍の中に知り合いがいますからね」
ブラウンシュバイク公の動きを探っていたのか。ありそうなことだ。

「なるほど、お力添えいただけますか」
「喜んで」
ミッターマイヤー、第一段階は
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