暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第二百五十話 信長の先陣その十二

[8]前話 [2]次話
「わしはこれ以上ないまでの幸せ者じゃ」
「そう言われますか」
「やはりな」
 こう言うのだった。
「これだけ幸せでよいのか」
「何か申し訳ないともですか」
「思うのう」
「しかしその幸せはです」
 秀長は微笑んで兄に話した。
「兄上がご自身で手に入られたもの」
「だからか」
「それもよいかと」
「そうなるか」
「はい、兄上がご自身の努力と資質で手に入れられたもの」
 その幸せはというのだ。
「ですからそれでよいかと」
「そうか、ではな」
「はい、より精進されてです」
「より多くの幸せを手に入れてもよいか」
「そうかと。大名になられ官位に富も手に入れられ」
 今の羽柴の状況も話すのだった。
「そしてです」
「子も出来てな」
「それよりさらに精進されれば」
「さらによいことがあるか」
「これ以上の幸せとなれば何を望まれますか」
「ううむ、そう言われるとな」
 羽柴は考える顔になってだ、弟に答えた。
「思いつかぬわ」
「今で満足ですか」
「最高じゃ」
「ではその最高の気持ちを他の者に与えますか」
「幸せをか」
「政でそうされては」
「そうじゃな。わしは政をしてな」
 それも善政をだ、羽柴は言った。
「より多くの者を幸せにしようぞ」
「では」
 秀長も応えた、そしてだった。
 羽柴は今は寝た、そのうえで次の戦に向かうのだった。


第二百五十話   完


                          2015・11・1
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ