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戦国異伝
第二百五十話 信長の先陣その十

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「そしてですな」
「あの者を倒し」
「その威勢を駆ってさらに攻め」
「戦にもですな」
「勝つ、しかしまずはじゃ」
 老人はまた言った。
「あの者じゃ」
「何といっても」
「あの者を倒す」
「それが先決ですな」
「第一ですな」
「これまでのことを思うと」 
 また言う老人だった。
「やはりな」
「はい、どうしてもです」
「我等にしましても」
「恨みが重なっております」
「特に一ノ谷のことを思うと」
「先の戦を思いますと」
「そうであろう、ならばな」
 それ故にというのだ。
「わかっておるな」
「我等の力全てで」
「織田信長一人を狙いましょう」
「是非共」
「ではな」 
 こう話してだった、彼等は織田信長の首だけを狙おうとしていた。
 その彼等がいよいよ明日ぶつかろうという日の夜にだった、雪斎は夜の星を見てだ。こんな竹中にこう言った。
「これは」
「はい、星の動きを見ますと」
「一見して危ういですが」
「妖星が将星を囲んでいます」
「しかしです」
「それよりも遥かに多くの星達が」
 竹中はその空を見て言うのだった。
「妖星達を囲み」
「完全に覆い潰そうとしていますな」
「そしてです」
 そのうえでと言うのだった。
「将星もです」
「その輝きを余計に増し」
「そのうえで」
 まさにというのだ。
「妖星達を消そうとしています」
「では」
 それではと言うのだった。
「明日にもはじまろうとしている戦は」
「勝ちますな」
「ですな、そして」
「完全にです」
 まさにと言うのだった。
「魔界衆は滅びます」
「そうなりますな」
「運命は決まっています」
「魔界衆が滅び」
「そして天下はですな」
 まさにというのだ。
「泰平になり」
「そしてそのうえで」
「栄えます」
 泰平になりそうしてというのだ。
 そうしたことを話してだ、そのうえで。
 ここでだ、黒田も来てだった。
 夜の星達の状況を見てだ、確かな声で言った。
「決しますな」
「ですな、そしてその場は」
「妖星達の星が」 
 彼等がというのだ。
「見たところ一度消えてまた光っています」
「一度負けて」 
 そうしてというのだ。
「逃れて」
「そしてですな」
「もう一度戦うことになりますな」
「左様ですな」
「それでは」
 ここでだ、雪斎がまた話した。
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