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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第48話:出産。男に出来る事は何もない。狼狽えるしか出来ないなんて情けない。
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(グランバニア城・謁見の間)
リュカSIDE

何時も突然だ。
何故に陣痛は突然訪れてくるのだろうか?
いきなり愛する妻が蹲り、そして苦痛を訴えてくる。

男は如何すれば良いのだろうか?
出来る事など何も無い。
苦しんでいる妻以上に慌てるしか出来ない。

俺も初めての時はそうだった……
そして、その初めての時に生まれた息子も、今俺の前で落ち着き無くオタ付いている。
歴史は繰り返されるのだろう……落ち着きの無いティミーに、オジロンが「少しは落ち着けティミー!」と声をかける。

“お前の時は落ち着いてたのかよ、このハゲ!”
そう言いそうになり言葉を飲み込んだ。
優しい気持ちから言ってくれてる言葉だろうから、毒突くのは控えた方が良い。

何か息子が落ち着ける話題が無いモノかと周囲を見渡す。
しかし俺の周囲にはムサい男ばかり。
アルルの陣痛が始まった時に、直ぐ側に居たリュリュが呼んできたサンチョと目が合った。

「感慨深いモノがありますなぁ……」
何がだよ?
リュリュは、出産の手助けにと、サンタローズへルーラで戻り、母さんとレミさん(サンチョの奥さん)を連れてきた。

それは良いんだよ。実に気の利く良い娘だと思ったね。
でもさ……サンチョは要らなくね?
サンタローズに残ってさ、吉報を待ってれば良いじゃん。仲間外れがイヤだったのかな?

「サンチョよ、お前は親子孫3代にわたって出産を立ち会う事になったのぉ」
「はいオジロン様。パパス様が立ち会うはずでしたが、それが叶いませんので僭越ながら私めが立ち会わせていただきます」

なるほど、そういう事か。
だから何も出来ないのに、わざわざサンタローズから来たのか。
そう考えると(すげ)ーな……俺もサンチョには子供の頃から世話になってるし。

……にしても、目の前をウロウロするティミーが鬱陶しい。
俺の時もそうだったから、あまり強く言いたくないし……
取り敢えず座らせるか。

「ティミー……心を落ち着ける為にも、ここに座れ」
そう言って俺は玉座から立ち上がり、ティミーに席を譲る。
ここ謁見の間には、王様が座る為の玉座しか無い。

出産の待合は何時もこの場所なんだから、皆それぞれ椅子を用意すれば良いのに、片付けるのが億劫なのか誰も用意してない。
その為、椅子は1つ……現在王様な俺だけが座っていた。何か申し訳ない。

ティミーは今にも泣きそうな表情で玉座に座る。
多分普段だったら『いえ、僕は未だ王ではありませんので、その玉座には座れません』とか何とか言っちゃって畏まるんだろうけど、今は余裕がないのか素直に座った。

俺は俺で、ひとり偉そうに座ってた事が申し訳なく、玉座の右斜め前で皆と一緒に誕生待ちしてるウルフの横に……

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