暁 〜小説投稿サイト〜
ハーメニア
友達
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「全力って!もうやめろミクッ!」

俺が叫ぶ。しかしそんなことは意に介さず、二人の戦いは続いていく。ミクが剣を振り下ろせば、着物男がそれを防ぐ。同じ光景が何度も何度も繰り返されている。

「お父さん!ミクちゃんは私達の友達です。だからこんなことは!」
「そうはいかん。奴は二人の命を狙ってきた。ならばそれを見逃す訳にはいかん」

親父が答える。でもこのままじゃ、ミクは死ぬかもしれない。そんなの、絶対に嫌だ。結月も同じ気持なのか、俺の方を見ている。そうだ、こんなこと許す訳にはいかない!大体だ、俺を殺すつもりならいくらでもチャンスはあった。でも何故今、必ず着物男がいる時にミクは襲撃をかけてきたんだ?

「それは……ミクの心に迷いがあったから?」
「私も同じ考えです。だからまだ、ミクちゃんと分かり合えるはずだって、私は信じてます!」

もしかしたら俺達の考え過ぎなのかもしれない。でも少しでもその考えがあるなら、俺はその可能性を捨てたくない。何よりも


  俺達が
「「   ミクちゃんを死なせたくない!」」
  私達が

親父が何かを考えている。

「一つだけ手がないこともない。ゆかり、お前だけでは不可能だが、マコトが力に目覚めることができれば」
「あるなら教えてくれ!なんでもする!」

そんなことを話している間も戦いは激しさを増していく。

「ミクちゃん!」

結月が叫んだ。遂に均衡が破れたのだ。着物男がミクを蹴り飛ばす。ミクはその勢いのままステージにぶつかった。

「だから言ったんだ。愚かだと、自身の力を分かっていれば、死なずに済んだものを」

着物男が一歩一歩、ミクに近づいていく。ミクはたたきつけられたまま、動かない。

「親父、早く!このままじゃミクが殺される!」

親父は未だに何も言わない。こいつ……

「アンタなぁ!いいかげんにしろよ!このままじゃ人が死ぬんだ、それも自分の友人が!そんなの見て黙ってられるかよ!」

親父の胸ぐらをつかみながら怒鳴る。たとえそれが俺を殺そうとしたやつだろうと、こんなことが許されるわけがない。だから俺は何がどうしても助けるんだ、たとえこの身を盾にしてでも、ミクは死なせない。

「……ゆかり。あれを使え」
「でも、あれは私は……」
「ここにはマコトがいる。二人分の力があれば、試し価値はある」
「!わかりました、マコトさん。行きましょう、付いてきてください!」
「ついてこいったって、このままじゃミクが!」
「だからそれを防ぐんです!私と、マコトさんの二人で!」

結月が走りだした。

「いけ、マコト。二人でなら止められる」
「ああっ!行ってくる!」

親父に背を向けながら結月を追う。

「……やはりこうなるか。お前たち
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ