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【短編集】現実だってファンタジー
既死廻生のクレデンダ 前編
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砂へと還っていく。

 この星は、夜は赤道に近い緯度にも拘らず気温がマイナスにまで落ち込む。長きにわたる戦争が巻き上げた有害物質と粉塵によって空を覆われ、氷河期を迎えているのだ。時折異常気象から起きるダウンバーストによって海は完全に凍りついた。
 大気は有害物質や偶発的に発生した科学物質によって汚染され尽くし、環境維持装置のある場所以外ではマスクを外す事さえ許されない。マスクを失ったものは体内に侵入する毒素によって全身の細胞を破壊され、苦しみ抜いた末に血反吐を吐いて死を迎えるだけだ。
 かつて青の星、緑の星などと呼ばれていた地球は、当の昔に死と灰の星になっていた。

「ダメージチェック………FCS、DML……インターフェイス全て沈黙。離元動力パッケージ、オーバーヒートにより使用不能。ナノマシン・セル残量0により、立て直し不能………生きてはいるが、それだけか」

 V区画ポイント2004y担当第3373号男性型クレデンダは、既に自身が戦闘不能であり、戦略的に見放された存在であることを機械的に認識した。周辺には撃破したミランダが絶命した姿で山を築いていた。
 そしてそのミランダとの戦いの中で敵を狩り尽くした時には、既に自分も満身創痍だった。ただ、それだけの事だった。

 クレデンダとは人種であり、イデオロギーであり、派閥であり、コミュニティであり、社会であり、国であり、人類である。ミランダもまた同様だった。はるか昔には等しく「人類」を名乗っていた種族である。

 10000年前より「人類の文化継承と自由思想に基づく進化」を主張し、完全自由社会を主張したミランダ。
 5000年前より「人類の遺伝レベルでの管理と進化」を主張し、完全管理社会を築いたクレデンダ。
 
 二つの勢力がどのような過程を経て戦争に至ったのか、戦闘特化型クレデンダであるV2004y担当第3373号男性型には理解が及ばない。そもそもミランダという組織の詳細データに関しては第一級禁忌情報として閲覧が大きく制限されており、11階級個体であるV2004y担当第3373号男性型――以降、『彼』と呼称するものとする――には閲覧を許されるはずもない。

 禁を破れば管理不適合個体として脳髄の変更処置が下され、処置によって不要となった肉体はタンパク質補給食材として再利用される。つまり、『彼』の意識は永遠に失われ、身体だけが再利用されることになる。人間でさえこの世界では貴重なタンパク源であり、規定された能力を下回った個体もまた蛋タンパク源として『有効活用』される。

 その処置をクレデンダは3000年前から当然の物として受け入れてきたが、ミランダは同年よりこのシステムを非人道的なシステムとして異を唱え続けていた。その他にも、4000年前にはクレデンダの遺伝的サイバネティッ
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