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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第五話 学生生活
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に俺のテンションは上がっていった。

「起立」

 女子生徒の号令に従い、着席していた生徒が一斉に立ち上がる。

「気を付け、礼」

「「おはようございます!」」

 大きな声の人、小さな声の人。

 それぞれ差がある音量ながらも、皆の声が混ざった挨拶に俺は少しだけ安心感を覚えた。

 それは管理局にも一礼なり挨拶なりの一般社会で使われる動作がある。

 自分より階級や年齢が上の人を前にすれば先にこちらが頭を下げる、なんていうのは子供のころから習えたものなんだ。

 そんなことすら、俺は知らなかった。

「…アマネ」

《なんですか?》

 ここまでずっと黙っててもらっていたアマネに、俺のほうから声をかけた。

 いつものアマネだったら『周りに聴かれるのでおやめください』と注意していただろう。

 けど、きっと俺の声に篭っている意思を感じ取った。

 だから俺は最後まで俺の意思を言い切った。

「俺さ、学校のことは一人で頑張りたい。 だからアマネには、見守って欲しいんだ」

 それは前から考えていて、今になってようやく決意が固まった想い。

 アマネはいつだって俺が困った時に手を差し伸べてくれる。

 なんだかんだ文句を言っても、なんだかんだ呆れていても、俺を助けてくれる。

 きっとこの学生生活だって、念話なんかで助言をしてくれたりする予定なのだろう。

 正直言ってありがたいし、頼って進んだ方が効率がよかったりする場面が多いと思う。

 けど、思う事があるんだ。

「学生生活だけは、魔導師としてじゃなくて学生として過ごしたいんだ」

 アマネと言う存在は、俺が魔導師である証だ。

 頼りになる相棒。

 側にいるのが当たり前の存在。

 魔導師であるためには必要不可欠。

 でも、だからこそ切り離して過ごしたいと思った。

 俺はただの学生としての人生を送りたいから。

 これから入る教室の皆と同じように、デバイスや魔法がない普通の人間の中に入るために、アマネには見守る立場であって欲しいと願った。

 そんな俺にアマネは、あまりにも短い間で答えた。 
 
《――――一人と独りの違いを分かっているのであれば、あなたの願いに従いましょう》

 アマネはマスターとしての俺ではなく、一人の人間としての俺に対してそう言った。

「……ありがとう」

「早速だが、今日からこのクラスで一緒に過ごす転入生の紹介をするぞ」

 先生の言葉に、俺は教室のドアへ手をかけた。

 これを開ければ、俺の学生生活が始まる。

《行ってらっしゃい、小伊坂様》

「行ってくる、アマネ」

 俺はドアを開け、教室の中へ足を踏み入れ
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