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我が剣は愛する者の為に
賊に支配された村
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うなっていたか。」

すると、男性は懐から小さな袋を取り出す。
それを俺達に差し出す。

「少ないですがこの中にはお金が入っています。
 見た限り武芸者のお方とお見受けしました。
 どうか、私達の村を救ってください!」

土下座しながら男性は言う。
俺達は頷き合い、俺はしゃがみ込む。

「顔を上げてくれ。」

俺の言葉に男性は顔を上げる。

「そんな話を聞いたら黙っていられない。
 お金は入らない。
 すぐに村まで案内してくれ。」

俺がそう言うと男性は涙を流しながら、何度も頭を下げてお礼を言う。
男性の案内の元、森の中に入る。
森の中に入って歩いている時だった。
ボゴォ!!、と鈍い音と同時に何かが倒れる大きな音が聞こえた。
俺達は顔を見合わせる。

「助けを求めたのはあんただけか?」

一刀が聞くと男性が頷く。

「先に行くぞ。
 後からついて来い。」

そう言って、俺は音のした方に向かって走る。
修行時代にこういう森を走っていたので、颯爽と走る。
音のする方に向かうと人影が見えた。
そこには身体が不自然に凹んだり、曲がっている賊が五人倒れていた。
さらには木も峰の方が強い衝撃でも受けたのか、へし折れておりその場には同じように凹んでいる賊が倒れている。
その傍に赤い服を纏い、つむじ辺りの髪をサイドに分けたオレンジ色の髪をした女性が立っている。
彼女の手には二本の剣が持たれている。
長さは八十センチくらいだろうか。
刃はなく、ゴツゴツした鉄の棒が代わりにある。
鉄鞭と呼ばれる武器だろう。
状況を察するに彼女がこの賊を殺したのだろう。
俺は警戒しながらも尋ねる。

「お前がこれをしたのか?」

声をかけるとこちらに振り向く。

「友人の頼み事でこの近辺に村があるかどうか確かめに来たら、賊が襲い掛かってきてね。
 貴方は何をしに来たの?」

答えようとした時、後ろから一刀達が遅れて到着する。
事情を説明すると彼女は剣を収める。

「なるほど。
 賊に支配された村ね。
 貴方達はそれを助けに行くと。」

「そうだ。
 あんたはどうする?
 村がある事は分かったが。」

俺がそう言うと軽く笑みを浮かべて言う。

「もちろん手伝うわよ。
 そんな村を放って帰ってきたら怒られちゃうし。
 何より、村を放っておくわけにはいかないしね。」

彼女は俺に手を差し出してくる。
そして、こう言った。

「私は太史慈、字は子義。
 少しの間かも知れないけど、よろしくね。」
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