暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜夜戦トーナメント〜
妖怪夜戦女vs桜の木の下で眠る獅子
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「なんか加古の煽り文句がシュッてしててかっこいいクマ……」
「そうか?」
「クマっ」

 まぁなぁ。『獅子』なんて単語を選んだんだからけっこうかっこよく映るのかもしれないな。

「ふっふーん……川内、重巡洋艦の本当の力、見せてやるからね」

 二人はすでに演習場に入っている。加古は腕を組み、自信満々にそう言ってのけた。俺が付けた煽り文句はあながち間違いではないようで、今の加古はまさに眠る獅子の如き貫禄に満ちあふれている。

『艦種的に考えたら、今のメンバーの中で1番夜戦が強いのは加古だからね』

 艦娘のことにやや疎い俺に対し、アナウンスの形で北上がそう教えてくれた。なるほど。ということは、実は今回のトーナメントの優勝候補筆頭なのかもしれないな。

 一方……

「ハァー……ムハァー……早く……早く合図をォオ……夜戦……ムハァー……夜戦は……」

 川内は暴走した汎用人型決戦兵器みたいな前傾姿勢で肩で大きく息をしつつ、焦点の定まらない目で加古を見ているようだ。……提督さん、川内はあれですか? 夜戦中毒的な何かなんですか?

「なんか最近、輪をかけてひどくなってきた気がするな川内は」
「そうなんすか?」
「ああ」

 自身の顎をさすりながら不思議そうにそう言う提督のそばには、顔を真っ赤にして申し訳無さそうに佇んでいる神通と、その横でアイドルスマイルを周囲に振りまきながらぴるんぴるん回っている那珂ちゃんがうっすら見えた。

「ちくしょう……張り倒してぇ……ッ!!」
「んお?」
『じゃあ第二試合はじめるよ。やっちゃってー!!』
「いくよぉぉおおおおおお!!」
「やせぇぇええええええええん!!!」

 ついに第二試合の火蓋が切って落とされた。照明が落ちる寸前の二人の姿は、まさに威風堂々な女戦士と、危険極まりない夜戦変態とでもいえばいいのだろうか……なんかそんな風にしか形容できないんだけどいいのだろうか……。

『いいんじゃない? 川内も楽しそうだしさ−』
「いいならいいんだけどな……」

 そして、今回の試合は、先ほどの第一試合と根本的に違うところがあった。

『ふんっ』
『や……ちょっ……』
『ふーん!』
『こおのっ……変態野郎ッ……!!』
『ふーん!!』
『ちょっ……スカートひっぱら……やっ……』

 ……提督さん、あの二人は暗闇にかこつけて、一体何をやってるんでしょうか。

「元々川内は主機をフル活用したアクロバティックな動きが得意だ。加古の周囲を動きまわり、翻弄しているのかもしれんな。スカートひっぱったりして」

 ものすごいドヤ顔でそう言う提督さんだが、内容が内容だけに素直に感心できん。翻弄するのはいいとしても、なぜスカートを引っ張るのか……

「こんの
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ